ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

フィジカルコンタクトはサッカーの武器!中田英寿の秘密とは?

(3)中田英寿の手押しの秘密

①中田の手押しはボクシングのカウンター

中田の手押しは、ボクシングのカウンターパンチに似ています。

ボクシングのカウンターは、相手がパンチを打つために前に出て来た勢いを利用して打ち返す!というものです。

これは相打ちと似ていますが、先ほど解説した作用反作用の法則の3つの要件のうち「同じ作用線上で力が働く」という要件が適用しません。

これはどういうことか?というと、緑のグローブの選手が先にパンチを打ったところ、少しかわして青いグローブの選手がカウンターを決めていますよね。

実は、この「少しかわす」という動作が「同じ作用線上で力が働く」という要件、つまり、つりあいを取れなくしているのです(両者の頭や腕の位置を見ると少しズレている)。

そうすると緑のグローブの選手は、自分のパンチの勢い+青いグローブの選手のカウンターによって、単純に二倍の威力を受けるのです。

ボクシングの試合中にカウンターを受けて、そのままKOというシーンがよくありますが、たしかに無理もありませんよね。

この場合、中田の手押しも全く同じ原理です。

そこで、この秘密を次に解説しましょう。

②中田の手押しは「かわす」こと

先ほどご覧になった、中田の動画を注意して確認してみてください。

実は、中田は、当たって来る相手に対し、同じ作用線上からほんの少しだけかわすことで、相手のコンタクトをまともに受けていません。

だから、相手は「おっとっと…」となって、バランスを崩して倒れるのです。

つまり、中田がいかにも凄いパワーで相手を倒しているように見えますが、決してパワーに頼ってはいないわけですね。

たぶん、倒れた相手は「えっ?どうして?」と感じているかも知れません。

これは、体重100㎏の人と50㎏の人が勝負しても似たような結果が出ます。

例えば、相撲の叩きこみ(はたきこみ)という決まり手がありますが、これは、相手が飛び込んでくる勢いを少しかわすことで、バランスを崩させて倒す技ですね。

しかも、倒した方はほとんど力を使っていません。

先ほどご覧になった中田の動画にも、似たようなシーンがたくさんあると思いませんか?

一般的な手押しの場合は、同じ作用線上で相手の力との「つりあい」を利用するだけなので、「間合い」を作って離れることは出来ても、倒してしまうほどの威力はありません。

でも、中田は違います!

ある意味では、作用と反作用の法則を逆手に取ったフィジカルコンタクトだと思います。

巷では、中田のようになりたかったら体幹を鍛えよう…などと言われますが、相手をかわすという技術の方にもっと注目すべきではないでしょうか?

実は中田のテクニックは、海外のサッカー選手と比べて体格が劣る日本人でも十分使いこなせるヒントが隠されているのです。

だからこそ、これからの育成指導の現場では、こうした「相手をかわす」スキルを教えてほしいと思います。

(4)中田の「かわす」スキルを身に付けるためには?

中田のように相手をかわすスキルは、どうしたら身に付くと思いますか?

答えは簡単です。

それは幼少期から鬼ごっこや追いかけっこをたくさんやって、追いかけてくる相手をかわす方法を覚えれば良いのです。

先ほどご覧になった中田の動画のフィジカルコンタクトは、まるで鬼ごっこや追いかけっこで逃げ回る時のすばしっこさを感じませんか?

実は鬼ごっこと追いかけっこは、SAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)というスポーツに必要な3要素が全て身に付く万能な遊びで、昔の子どもたちは、こうした遊び中で身体能力を高めたのです。

でも今の子どもたちは、こうした遊びを経験しないうちに、サッカーや野球などのスポーツを始めてしまいます。

私が思うに幼稚園や保育園のうちからボールを蹴らせるよりも、こうした遊びをたくさん経験させるべきです。

全国のスポーツ指導者にも、こうした遊びの大切さにそろそろ気付いてほしいですね。

スポンサーリンク

さて、次はフィジカルコンタクトに欠かせない手押しやショルダータックルなどの練習方法を解説します。

この続きは下の四角のボタン「4」を押してください。