ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーに必要な体力を付ける方法!科学的に考えよう

サッカーの試合に必要な体力を付けることは、とても重要です。
その際、よくありがちな「90分間走り切る…」という考え方は、実は間違いです。

また日本ではサッカーと体力の関係で、あまり知られていない大切な点もあります。

そこで今回は、サッカーに必要な体力、トレーニング理論、試合中の活用法、体力を付けるための練習法について科学的に解説します。

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1.サッカーに必要な体力とは?

(1)実際のプレー時間と体力

サッカーに必要な体力は、試合中のプレー時間や運動量に応じて考えることが重要です。
なぜなら、それによってどのくらいの体力が必要なのか?という目安が分かるからです。

こうした場合、ネットや書籍の情報では「90分間走り切る…」「マラソンのような持久力が必要…」などという安易な知識が蔓延しています。
たぶんこうした誤解は、体力=持久力という思い込みと非科学的な根性論による安直な発想から来ているのでしょう。
そうすると体力を付けるためには、意味のない走り込みをひたすら続ける…と言うことになりがちです。

そうした誤りを改めるためにも、先ずはサッカーのプレー時間や競技の特性をきちんと理解しましょう。
そのうえで体力づくりに必要なトレーニングのメニューを考えるべきです。

さて、サッカーの試合時間は90分ですが、実際にプレーするのは60分程度なので、それ以外の30分は中断しています。
またジュニアの試合時間は40分で、実際のプレーは25分程度、中断時間は約15分になります。

この場合の中断時間は、例えば次のようなものです。
ボールがタッチラインを出てからスローインまで。
ファールの後から再開まで。
セットプレー(フリーキックやコーナーキック)やゴールキックによる中断。
その他にも審判が笛を吹いて試合を止めるケースが多いです。

こうして考えると、サッカーのプレーは試合時間の2/3程度でしかないということですね。
意外と思われるかも知れませんが、こうしたデータはプロでも学生でもほとんど変わりません。

つまりサッカーに必要な体力は、実際の60分というプレー時間に基づいてトレーニングすることが重要なのです(ジュニアは25分程度)。

ちなみに海外のプロチームの練習時間は、1日あたり90分~2時間くらいです。
その理由は実際のプレー時間が短いので、やみくもに練習しても意味がないからです。
もちろん、シーズン前に瞬発力や持久力を高めるなどの特別メニューを組むことはありますが、やはりシーズン中は長時間のトレーニングを控えます。

さて、サッカーに必要な体力を考える上で、もう一つ大切なのが試合中の運動量です。
そこで、次にこの点について解説します。

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(2)試合中の運動量と体力

サッカーの試合中の運動量に占める割合で、最も大きいのが走る動作です。
これに対して、ドリブル、キック、トラップなどで、一人の選手がボールに触る時間は2~3分程度しかありません。
そうした意味ではサッカーのほとんどプレーは、走ることが多いわけですね。

そこでサッカーの運動量を考えるうえでは、走る動作を中心に分析してみます。

先ず最初に、走るプレーを90分間での走行距離に基づいて考えてみましょう。

この場合、比較的運動量の多いMFの選手の1試合当たりの走行距離は10㎞程度になります(ジュニアの場合は5㎞以下)。
ただし試合中は同じペースで走っているわけではなく、歩く程度~全速力までのいろいろな動きをします。

また、こうした走る動作のうち有酸素運動(歩いていたりジョギングなどの持久力)の割合は70%で、無酸素運動(全速力の瞬発力)が30%になります。

そこで次に、この二つの運動を走行距離との関係で考えてみましょう。

平均的な試合での走行距離に対する有酸素運動の割合は、10㎞の70%なので約7㎞です(ジュニアの場合は約2.5~3.5㎞)。
これに対して無酸素運動の割合は、全速力の動きが10㎞の30%なので3㎞(ジュニアの場合は1~1.5㎞)になります。

また無酸素運動の3㎞のうちの半分は20~30mの短距離ダッシュ(50~60回)で、もう半分が10m以下のダッシュ(150~160回)です。
ジュニアの試合では20~30mの短距離ダッシュが20~25回で、10m以下が50~75回程度と考えれば良いでしょう。

これをプレー時間に換算すると、無酸素運動による一回当たりのプレーはせいぜい3~4秒程度なのです。

でもこうした動きを繰り返すので、実際には瞬発力とともに持久力も必要になります。

簡単に言えば、サッカーは短い距離を全力で走ったり止まったりという動作を繰り返すので、体力の消耗が激しい過酷なスポーツというわけですね。

以上から分かることは、サッカーに必要な体力を付けるためには、瞬発力と持久力をまんべんなく取り入れる効果的なトレーニングを必要とするのです。

そこで次に、体力を付けるための効果的なトレーニング理論を解説します。

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2.体力とトレーニング理論

(1)走り込みで体力が付くのか

体力を付けるためには走り込みが必要…という考えは、日本の育成指導でよくありがちです。

私は走る練習そのものを否定しませんが、問題は走る内容…、つまりトレーニングの質にあると考えています。

例えば走り込みのために、必要以上の長距離をいくら走っても試合に活きる体力は身に付きません。
なぜならマラソンのような持久力は身に付いても、これだけでは短距離ダッシュのような瞬発力を発揮できないからです。

走り込みをするサッカー選手

それでは短距離ダッシュだけを繰り返せば良いのかと言うと、そうでもありません。
これは、サッカーの試合中の走る動きの特性を考えると良く分かります。

例えば、一つのプレーで前に走る、次は右、その次は左、さらに後ろに進み…というように縦横無尽に動き回ります。
しかも走るスピードが全力であったり、ジョギング程度であったりということで、複雑な動きを繰り返します。

そうすると、一定のスピードで前に走るだけのトレーニングを繰り返すのは、ほとんど意味がありません。

つまり、これまで日本で常識とされていた走り込みは、実際の試合ではあまり役に立たないのです。
したがって、これまでのトレーニング方法は見直しが必要になります。

そこで次に、体力をつけるための効果的なトレーニングについて詳しく解説します。

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(2)効果的なトレーニングとは

体力トレーニングで大切なのは、体力を付けるとともに、試合中の体力の消耗を防ぐという点です。

そのための効果的なトレーニング方法は、三つあります。

一つ目はインターバルトレーニングで、これは体力を付けるという点を重視します。

特に有効なのが、短距離走の無酸素運動と長距離走の有酸素運動を交互に繰り返すことです。
例えば、スプリント→歩く(またはジョギング)→スプリント→歩く(またはジョギング)などのメニューですね。
そうすることで、瞬発力と持久力を合わせて身に付けることが出来るのです。

二つ目はラダートレーニングで、これは体力の消耗を防ぐという点を重視します。

この場合に大切なのは、動きの順応性です。
ヒトは特定の動きを繰り返すと、その動作に順応しようとします。
例えば、キック、トラップ、ドリブルなどは、特定の動作を繰り返すことで自分のテクニックが一定のレベルに順応する(覚える)わけです。

これを試合中の走る動作で考えた場合、走ったり止まったり、右に行ったり左に行ったり、途中でジャンプしたり、体をひねって方向転換したり…という動きを繰り返します。

こうした動作はラダートレーニングを繰り返すことで、体が正しい動きに順応して覚えることになります。

その結果、間違ったムダな動きによる体力の浪費を防ぐわけです。

ラダートレーニングをもっと詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください

ラダートレーニングでサッカーが上手くなる4つのポイント

三つ目はナンバ走法を身に付けることで、これも体力の消耗を防ぐという点を重視します。

サッカーの試合では、ピッチ走法が主流ですよね。
その特徴はスタート直後にトップスピードに乗るため、加速を繰り返すことです。
しかも筋肉のパワーを最大限に使うので、体の負担が大きくスタミナ切れを起こしやすくなります。
自動車の運転に例えれば、急発進と急加速を繰り返してガソリンを浪費するようなものですね。

これに対して、ナンバ走法を取り入れると体力の消耗を抑えることが出来ます。
ナンバ走法の特徴を簡単に言うと、手の動きに連れて足も勝手に前に動いてしまう…という走り方です。
そうするとムダな体力を使わないので、疲れにくく省エネ型の走り方になるわけです。

そうした意味で大切なことは次の2つです。
・ナンバ走法を習得する。
・そのうえでピッチ走法を使う。

ちなみに江戸時代の飛脚は、100㎞以上の距離をナンバ走法を使って走っていたそうです。
その時に効果的だったのが、やはり体力の消耗を抑えるという点です。

そうした点でナンバ走法を身に付けることは、先ほどのラダートレーニングのように体力の無駄遣いを防ぐわけです。

ナンバ走法をもっと詳しくお知りになりたい方は、次の2つの記事をお読みください

サッカーの走り方!速さと持久力が両立するナンバ走法とは?
足が速くなる練習方法!小学二年生が三ヶ月で学年トップ?

ところで、体力の消耗を防ぐという点でラダートレーニングとナンバ走法に触れましたが、実際の試合ではこれだけでは不十分です。

そこで次に試合中に、どのように体力を使えば良いのか?という点を解説します。

大切な内容なので、ぜひお読みください!

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