ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーに必要な体力を付ける方法!科学的に考えよう

サッカーに必要な体力を付けることは重要ですが、「90分間走り切る…」という考え方は必ずしも正しいとは言えません。

特に日本ではサッカーと体力の関係で、あまり知られていない大切な点がたくさんあります。

そこで今回はサッカーに必要な体力、トレーニング理論、試合中の体力の利用、体力を付ける練習法について科学的に解説します。

※この記事は4つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【サッカーに必要な体力とは?】

2ページ目(←クリック!)
【体力を付けるためのトレーニング理論】

3ページ目(←クリック!)
【試合中の正しい体力の使い方】

4ページ目(←クリック!)
【体力を付けるための練習法】
【まとめ】

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【サッカーに必要な体力とは?】

サッカーに必要な体力は試合中のプレー時間や運動量に応じて考えるべきです。なぜなら、それによってどのくらいの体力が必要なのか?という目安が分かるからです。

そこで、次の2つの点について順に考えてみましょう。
(1)実際のプレー時間
(2)試合中の運動量

(1)実際のプレー時間

日本の育成年代の指導では「90分間走り切る…」「マラソンのような持久力が必要…」などの安易な発想が蔓延しています。

たぶんこうした誤解は、体力=持久力という思い込みと非科学的な根性論によるものでしょう。

そうすると体力を付けるためには、意味のない走り込みをひたすら続ける…と言うことになりがちです。

そうした誤りを防止するためにも、先ずはサッカーのプレー時間や競技の特性をきちんと理解しましょう。

そのうえで体力づくりに必要なトレーニングのメニューを考えるべきです。

さて、サッカーの試合時間は90分ですが、実際にプレーするのは60分程度なので、それ以外の30分は中断しています(またジュニアの試合時間は40分で、実際のプレーは25分程度、中断時間は約15分)。

この場合の中断時間は、次のようなものです。

・ボールがタッチラインを出てからスローインまで。
・ファールの後から再開まで。
・セットプレー(フリーキックやコーナーキック)やゴールキックによる中断。

その他にも審判が笛を吹いて試合を止めるケースも多いです。

こうして考えると、サッカーのプレーは試合時間の2/3程度でしかないというわけですね。

意外と思われるかも知れませんが、こうしたデータはプロでも学生でもほとんど変わりません。

つまりサッカーに必要な体力を付けるためには、実際の60分というプレー時間に基づいてトレーニングするのが重要なのです(ジュニアは25分程度)。

ちなみに海外のプロチームの練習時間は、1日あたり90分~2時間くらいです。

その理由は、先ほども解説したとおり、実際のプレー時間が短いので、やみくもに練習しても意味がないからです。

もちろん、シーズン前に瞬発力や持久力を高めるなどの特別メニューを組むことはありますが、やはりシーズン中は長時間のトレーニングを控えます。

さて、サッカーに必要な体力を考える上で、もう一つ大切なのが試合中の運動量です。

そこで、次にこの点について解説します。

(2)試合中の運動量

サッカーの試合中の運動量に占める割合で、最も多いのが走るプレーです(その他に歩いたり止まっていたりする)。

これに対して、ドリブル、キック、トラップなどで、一人の選手がボールに触る時間は、90分の中で2~3分程度しかありません。

そうした意味で、試合中のプレーのほとんどは走っていることが多いわけですね(いわゆるオフザボール)。

そこでサッカーの運動量を考えるうえでは、走る動作を中心に分析しましょう。

先ず最初に、走るプレーを90分間での走行距離に基づいて考えてみます。

この場合、比較的運動量の多いMFの選手の1試合当たりの走行距離は10㎞程度になります(ジュニアの場合は5㎞以下)。

ただし試合中は同じペースで走っているわけではなく、歩く程度~全速力までのいろいろな動きをしますよね。

また、走る動作のうち有酸素運動(歩いていたりジョギングなどの持久力)の割合は70%で、無酸素運動(全速力の瞬発力)が30%になります。

そこで次に、この二つの運動を走行距離との関係で考えてみましょう。

平均的な試合での走行距離に対する有酸素運動の割合は、10㎞の70%なので約7㎞です(ジュニアの場合は約2.5~3.5㎞)。

これに対して無酸素運動の割合は、全速力の動きが10㎞の30%なので3㎞(ジュニアの場合は1~1.5㎞)になります。

また無酸素運動の3㎞のうちの半分は20~30mの短距離ダッシュ(50~60回)で、もう半分が10m以下のダッシュ(150~160回)です。

ジュニアの試合では、20~30mの短距離ダッシュが20~25回で、10m以下が50~75回程度と考えれば良いでしょう。

これをプレー時間に換算すると、無酸素運動による一回当たりのプレーはせいぜい3~4秒程度なのです。

でもこうした動きを繰り返すので、実際には瞬発力とともに持久力も必要になります。

簡単に言えば、サッカーは短い距離を全力で走ったり止まったりという動作を繰り返すので、体力の消耗が激しい過酷なスポーツというわけですね。

以上から分かることは、サッカーに必要な体力を付けるためには、瞬発力と持久力をまんべんなく取り入れる効果的なトレーニングを必要とするのです。

そこで次に、体力を付けるためのトレーニング理論を解説します。

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