ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

マークを外す時に大切な2つのこと!大人のサッカーを目指そう

マークを外す時は、ある2つのことを意識するだけでマークの外し方はもちろんグループ戦術なども簡単に覚えられます。

そこで、今回はマークを外す時に大切な2つの点について解説します。

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1.マークの特性を理解する

マークを外す時は、どうしても自分から先に動く…というように自分本位で考えがちです。

でもそうではなく最初に考えるべきことは、マークはどのように動くのか?というディフェンス側の特性を理解しましょう。

その際、特に大切な点が2つあります。

1.マークを外そうとするとマークは付いてくる
2.マークはボールウォッチャーになりやすい

この場合、マークを上手く外せない子は、マークのポジショニングや特徴をきちんと理解していないからです。

そこで、先ずはこの点についてきちんと覚えましょう。

(1)マークのポジショニング

マークのポジションニングで重要な点は3つありますが、これは同時に守備の原則でもあります。

① マークする相手とゴールを結ぶ延長線上

これはゴールを守るという発想から来るものですが、マークする相手とゴールを結んだ延長線上にポジションを取るのが基本です。

これは守備の基本がボールとゴールを結ぶ延長線上に立つ…というのと同じです。

もちろん、常にこうしたポジションを取るわけではなく、ピッチ内のボールの位置関係によっていろいろと変わって来ます。

例えば、ゴール前のクロスやコーナーキックでは、相手は自分の前にあるスペースを使ってシュートしようとすることが多いので、それを防ぐために次のようなマークをします(赤が守備側のマーク)。

この場合、(A)と(B)は相手よりもゴールに近いポジションを取って、シュートを打たせないために密着した状態になります。

また(C)はホールディング覚悟で相手を自由に動かさないもので、(D)は自分の背中を使って相手の前にあるスペースを使わせないようにするものです。

このようにゴール前とそれ以外の場所でのポジショニングは異なりますが、ゴールを守るという発想は変わりません。

② 視野の確保

これはボールと相手の両方を視野に入れるということで、先ほどの「①ゴールを守る」よりも難易度が高くなります。

この場合、間接視野を使ってボールと相手の両方を見るわけですが、これは簡単に出来そうで実はそうでもありません。

そもそも、ヒトが正面を見る時の視野は左右で約200度の範囲ですが、そのうちの中心視野は約5度の範囲になり、これ以外は全て周辺視野になります。

また試合中は、敵・味方・ボールの動きが激しいので、周辺視野の範囲はもっと狭くなります(高速道路を運転するのと同じ)。

そうすると、よほど注意しない限り中心視野の約5度の範囲しか見ていない状態…、つまりボールウォッチャーになりやすいということです。

しかも守備側は相手からボールを奪わなくてはいけないので、その行方から目を離すことが出来ません。

だから、どうしても相手よりもボールの方を見てしまうのです。

実際にも日本代表のセンターバックの吉田選手は、ボールウォッチャーになりやすいという欠点がありますが、プロでもこうした状態になるわけですね。

そうした点では日ごろの練習から意識して、ボールウォッチャーにならないように意識するのが大切です。

③ マークする相手との距離

マークする相手との距離は、ゴール前とそれ以外で違ってきます。

ゴール前のポジションは、先ほども解説したようにシュートを打たせないことが最優先なので、マークする相手を自由に動かさないためにも、その距離はほぼ密着した状態になります。

これに対して通常のフィールド内では2つの点が重要です。

A.パスカットを狙う

これはマークする相手にパスが出た時に、ボールを奪うためのものです。

その場合、相手と密着し過ぎているとパスが来ないので、適度な距離を保つことも必要です(わざとパスを出させてパスカットを狙う)。

もちろん、密着してパスそのものを出させないようにすることもあります(ケースバイケース)。

B.裏を取られない

これはパスが通った場合に備えるもので、自分の裏のスペースに侵入させないことが大切です。

この場合、先ほどと同じように相手に密着し過ぎると、不意にかわされた時に裏を取られてピンチになります。

そうした意味ではパスカットを狙えて、裏を取られないという、付かず離れずの距離が必要なのです。

要するに、試合中は何が起きるのか分からないので、どのような状況に変化したとしても、柔軟な対応が出来るようなポジション取りが大切です。

(2)マークのポジショニングの特徴

これまで解説した3つの点は、ふつうはジュニア年代のうちに指導されますよね。

この場合、このうちのどれか一つを重視すれば良いというわけではなく、試合中は3つ全てを意識しましょう。

また、ゴール前ではシュートを打たさせないこと、それ以外の場所ではパスカットや裏を取られないようにする…というように、ピッチ内の場所によって動き方が変わります。

そうした中で、どんなに注意していてもボールウォッチャーになってしまう状況は起きてしまいます。

そこで、そうした点を考慮したマークの外し方も効果的でが、日本ではあまり使われていないようです(詳細については後述します)。

さて、こうしたマークの特性を理解したら、これを踏まえて具体的なマークの外し方を考えてみましょう。

2.マークを外す動き

育成年代の指導ではいろいろなパターンを教えますが、マークの外し方を大きく分けると二つだけしかありません(プロでも小学生でも同じ)。

その際、マークを外そうとするとマークは付いてくる…という守備側の特性も、合わせて理解しましょう(マークは動くもの)。

そうすることで自分とマークがいた場所にスペースが出来て、それを味方の選手が使えることから試合を有利に進められるのです。

そこで、マークを外す場合と動かす場合の両方を交えながら、次に2つのパターンについて解説します。

(1)マークから離れる

これはあまりにも当たり前過ぎですが、前後左右(つまり縦と横)に動くのは小学校低学年でも分かると思います。

でもこの時、斜めに動く(ダイアゴナルラン)マークの外し方もぜひ覚えましょう。

① 斜めに動く

斜めに動いてマークを外すメリットは3つあります。

例えば次のようにマークAから斜めに動いて離れる場合、何が起きると思いますか?

A.マークが混乱する

これはマークの受け渡しの問題になりますが、このままAが付いて行って良いのか?それとも他のディフェンスがマークに行けばよいのか?ということで、守備陣が混乱します。

B.ボールが見やすい

これはゴール方向に向かって真っ直ぐ走ったとしたら、味方に背を向けることになるので、どうしてもボールが見難くなります。

そうするとパスの出し手はタイミングが掴めないので、出し難いですよね。

これに対して斜めに走ることで、パスの出し手とボールが見やすいので、パスを受けやすくなるわけです。

C.スペースが出来やすい

斜めに動いた時はノーマークの状態のまま…ということはほとんどなく、次のように誰かがマークに付くことになります。

その場合、新しいマークが付くとスペースが出来ますよね。

そうすると三人目の選手がそこを使えば良いのですが、これはマークを動かすことでスペースが出来るというわけですね。

また新たなマークが来たとしても、足元でボールを受けて味方にパスしたり、そのまま裏に抜けてしまうのも良いでしょう。

この場合、Aはその場に止まっていますが、もしもAが付いて来たとしたら、やはりそこにもスペースは出来るわけです。

そうすると一人が斜めに動くだけで、チャンスが広がる可能性があるのです。

日本代表の試合でも、こうしたシーンはかなり多いので注意して観戦しましょう。

② 間受け

間受けとは、ディフェンスの間の中間ポジション(中途半端な位置)でパスを受けることを指します。

この場合、マークを外す時もこのポジションを意識することで、どちらが付けば良いのか?というようにマークを混乱させることが出来ます。

また、そのままマークが付いて来たら、当然スペースが生まれますよね。

画像の例では横に挟まれる関係になっていますが、縦に挟まれる関係や斜めに挟まれる場合も考え方は全く同じです。

したがって、マークが付いて来るのかどうかもきちんと見定めましょう。

ちなみにFCバルセロナの選手たちは、最初から間受けのポジションを取っていると思われがちですが、そうでもありません。

この場合、ほんの僅か1~2m程度マークから離れながらマークを付いて来させて、スペースを作る動きもよく見られます。

そうした動き方も参考にしてください。

③ ゴール前

この場合、ゴール正面(ペナルティーエリア正面)付近であれば、①斜めに動く②間受けがいずれも使えます。

これに対してクロスやコーナーキックの場合は、向って来るボールに対していかに自分の前にあるスペースを使ってシュートするのか?そのためには、どのようにしてマークを外すのかが大きな課題です。

その場合のマークは密着しているので、自分が動けば必ず付いて来ます。

例えば次のように、Aは前に動いてマークに付いて来させ、Bは踏みとどまってマークに足止めさせるとスペースが出来ますよね。

そこを狙ってCにスペースを使わせるという戦術も成り立つわけです(もちろんBが使っても良い)。

ちなみに、AやBがそのままシュートする場合は密着マークを受けているので、腕を使って引き離すのも必要です。

もちろんジャンプ力に自信があるのなら、そのままヘディングシュートをしても良いでしょう。

(2)フェイント

フェイントを使ってマークを外す場合は、教科書的には2~3歩以上大きく動いたり、緩急を使ったりして釣り出すのが必要…とされています。

たしかに、これは相手の逆を突くとか裏をかくという点で効果的です。

でもマークは必ず付いてくる…と言う考え方に立てば、わざとマークに付いて来させてスペースを作るのも覚えましょう。

その場合は、2~3歩以上大きく動くのではなく、小さくフェイントしたり、わざと小刻みに動いてマークの注意を引くのが大切です。

そうしてフェイントをかけると、マークは本能的にどうしても付いて来ようとするので、そうした心理状態も利用できるわけですね。

(3)マークを外す時のポイント

ここで、いったんマークを外す時のポイントをまとめておきます。

① マークを外そうとするとマークは付いてくる

これはマークを外す…という自分本位の発想だけではなく、合わせてマークを動かしてスペースを作る…という両方の考え方を理解するのが大切です。

特に日本では「マークを外す」ことと、「マークを動かす」ことを、別々の戦術として考えがちです。

でもこの2つは密接不可分の関係なので、なるべく合わせて教えるようにした方が良いでしょう。

ちなみに私がブラジルにいたころは、ジュニア年代で両方とも同じ時期に教えていました。

② マークの外し方は大きく分けて2つ

マークの外し方は、離れるか?フェイントをかけるのか?という二つだけです。

世間では、いろいろなパターンがあるように思われていますが、これは考え過ぎだと思います。

この場合、ブラジルでは基礎基本の動きだけを繰り返していましたし、実際の試合ではシンプルなプレーを正確にやることが重要とされていました。

そうした意味では、シンプルなマークの外し方を確実に覚えさせた方が良いでしょう。

さて次は、日本では意外と教えていない「マークがボールウォッチャーになる瞬間を狙った外し方」を解説します。

今回の記事の冒頭で解説した2つの点のうちの一つである「2.マークはボールウォッチャーになりやすい」という特徴を活かしたやり方なので、ぜひ参考にしてください。

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3.ボールウォッチャーになる瞬間を狙う

このマークの外し方は、これまでの「マークから離れる」とか「フェイントを使う」とかのように、自分から動くものではありません。

マークがボールウォッチャーになる瞬間を狙うということで、いわば「後出しジャンケン」と同じです。

そうした点で日本ではあまり使われていませんが、ブラジルの子供たちはよく使っていたので、ぜひ参考にしてください。

(1)マークの外し方

マークの外し方については、ボールウォッチャーになる仕組みから具体的なやり方まで、順を追って詳しく解説します。

① マークの視野のおさらい

先ほど1-(1)-「②視野の確保」で、マークがボールウォッチャーになりやすい点を解説しましたよね。

この場合、マークは次のようにボールと相手の両方を視野に入れるわけですが、どんな選手でも中心視野でボールを見ようとします。

なぜなら、ヒトは動くモノ(ボール)が安全かどうかを見定めるため、本能的に見入ってしまうからでしたよね。

つまり、見入ってしまう状態は中心視野の左右5度の範囲でボールを見てしまうということなので、その場合は周辺視野で相手を見るという意識がほとんどなくなります。

これはプロでも小学生でも変わりません。

そうすると、マークする相手の細かい動きまでは分からなくなるのです。

② ポジション取り

マークを外す前は、気付かれないよう、(B)のように出来るだけ平行なポジションを取ってください。

この時、マークが自分のユニフォームを掴んでいたら振り払ってください。

あまりしつこかったら、大げさに怒ったような顔でマークを睨むのも良いですし、審判が近くにいたらアピールしても構いません。

むしろその方が審判を味方に出来ますし、マークはファールを警戒してユニフォームから手を離すなど消極的になります。

このようにして平行なポジションが取れると、マークの周辺視野の端に位置することからほとんど見えなくなります。

③ マークのボールウォッチャーを確認

平行なポジションが取れたら、マークがどこを見ているのか?をチラ見してください。

この場合、味方がパスを出さないうちは、こちらをチラチラと見て来るかも知れません。

でも、いったんパサーの方を見ると、ほとんどボールに見入ってしまいます。

なぜならこの瞬間は、何度もくどいようですが、マークの心理状態が動くモノ(ボール)が安全か危険かを見定めるという、ヒトの本能に支配されるからです。

つまり、この状態がボールウォッチャーなのです。

※そこで、この瞬間にマークを外して動き出しましょう。チャンスは一度だけですよ。

またサイドの場合も同じ要領で、(B)のように出来るだけ平行なポジションを取りましょう。

後は、先ほどと同じようにやるだけです。

(2)注意点

この方法を使う場合は、次の点に注意してください。

① 同じマークには何度も使わない

これはフォーメーションから考えるとよく分かります。

FWならセンターバック、SHならサイドバックというように同じ選手がマークに付くことが多く、ポジションチェンジをしない限り、やはり同じ選手がマークに付きますよね。

そうした場合、試合中に何度も同じ選手に使うと警戒されるので、あまり使い過ぎないようにしましょう。

もちろん理想としては、分かっていてもやられてしまう…というくらいの選手に成長してほしいと思います。

② 時間帯に注意する

この外し方は、マークの判断力が鈍りやすい時が効果的です。

なぜなら、判断力が鈍るのは疲れている時であって、その場合は自然と視野が狭くなるからです。

そうした意味では試合の開始直後はあまり望ましくありません。

例えば、30分ハーフであれば残り10分くらいが良いですし、後半になれば15分以降の疲れが出やすい時間帯が良いでしょう。

またいったん試合が中断した時(ボールがタッチラインを出た時、ゴールラインを割った時、ファールした時など)は選手たちの集中が途切れやすくなります。

そうした直後に再開する時(スローイン、ゴールキック)を狙ってやるのも効果的です。

いずれにしても、この外し方は経験がものをいうプレーなので、何度もチャレンジしてみましょう。

③ 実際の試合を見てタイミングを真似る

実際のプロの試合をよく見ると、マークがボールウォッチャーになるシーンはかなり多いです。

その場合、例えばYoutubeなどで試合を見ながら、選手たちの視野を確認してみましょう。

特にJリーガーはボールウォッチャーが多いので、分かりやすいと思います。

④ 速読で動体視力を鍛える

これはマークをチラ見する時に役立ちます。

この場合、眼球を速く動かすとマークの動きが速く分かるので、ぜひ速読トレーニングで動体視力をしましょう。

また動体視力を鍛えると、試合中の視野が広くなるのでおススメです。

DVD付の安価な書籍教材はいろいろありますが、楽天やAmazonなどで1000~2000円程度で入手可能なので、ぜひ試してみてください。

4.まとめ

これまで、マークの外し方をいろいろと解説してきました。

特に大切なのは次の点です。

(1)マークを外そうとするとマークは付いてくる

この場合、マークを外す…という自分本位の発想だけではなく、合わせてマークを動かしてスペースを作る…という両方の考え方を理解しましょう。

また、マークの外し方は大きく分けて、離れるか?フェイントをかけるのか?という2つだけなのでシンプルに考えましょう。

(2)マークはボールウォッチャーになりやすい

マークはボールウォッチャーになりやすいので、その瞬間を狙った外し方は効果的です。

でも日本では意外と教えていないようなので、ぜひ覚えてください。

もちろん自分がマークをする立場になったら、ボールウォッチャーにならないように注意しましょう。

以上ようなマークの外し方を覚えることで、ジュニア年代であってもグループ戦術という大人のサッカーが出来るようになります。

ぜひ多くの子供たちが正しいマークの外し方を身に付けるのを願っています。