【マークがボールウォッチャーになる瞬間を狙う】
このマークの外し方は、これまでの「マークから離れる」とか「フェイントを使う」とかのように、自分から動くものではありません。
マークがボールウォッチャーになる瞬間を狙うということで、いわば「後出しジャンケン」と同じです。
そうした点で日本ではあまり使われていませんが、ブラジルの子供たちはよく使っていたので、ぜひ参考にしてください。
(1)マークの外し方
マークの外し方については、ボールウォッチャーになる仕組みから具体的なやり方まで、順を追って詳しく解説します。
①マークの視野のおさらい
先ほど、マークがボールウォッチャーになりやすい点を解説しましたよね。
この場合、マークは次のようにボールと相手の両方を視野に入れるわけですが、どんな選手でも中心視野でボールを見ようとします。
なぜなら、ヒトは動くモノ(ボール)が安全かどうかを見定めるため、本能的に見入ってしまうからでしたよね。
つまり、見入ってしまう状態は中心視野の左右5度の範囲でボールを見てしまうということなので、その場合は周辺視野で相手を見るという意識がほとんどなくなります。
これはプロでも小学生でも変わりません。
そうすると、マークする相手の細かい動きまでは分からなくなるのです。
②ポジション取り
マークを外す前は、気付かれないよう(B)のように出来るだけ平行なポジションを取ってください。
この時、マークが自分のユニフォームを掴んでいたら振り払ってください。
あまりしつこかったら、大げさに怒ったような顔でマークを睨むのも良いですし、審判が近くにいたらアピールしても構いません。
むしろその方が審判を味方に出来ますし、マークはファールを警戒してユニフォームから手を離すなど消極的になります。
このようにして平行なポジションが取れると、マークの周辺視野の端に位置することからほとんど見えなくなります。
③マークのボールウォッチャーを確認
平行なポジションが取れたら、マークがどこを見ているのか?をチラ見してください。
この場合、味方がパスを出さないうちは、こちらをチラチラと見て来るかも知れません。
でも、いったんパサーの方を見ると、ほとんどボールに見入ってしまいます。
なぜならこの瞬間は、何度もくどいようですが、マークの心理状態が動くモノ(ボール)が安全か危険かを見定めるという、ヒトの本能に支配されるからです。
つまり、この状態がボールウォッチャーなのです。
またサイドの場合も同じ要領で、(B)のように出来るだけ平行なポジションを取りましょう。
後は、先ほどと同じようにやるだけです。
(2)注意点
この方法を使う場合は、次の点に注意してください。
①同じマークには何度も使わない
これはフォーメーションから考えるとよく分かります。
FWならセンターバック、SHならサイドバックというように同じ選手がマークに付くことが多く、ポジションチェンジをしない限りほとんど変わりません。
そうした場合、試合中に何度も同じ選手に使うと警戒されるので、あまり使い過ぎないようにしましょう。
もちろん理想としては分かっていてもやられてしまう…というくらいの選手に成長してほしいと思います。
②時間帯に注意する
この外し方は、マークの判断力が鈍りやすい時が効果的です。
なぜなら判断力が鈍るのは疲れている時であって、その場合は自然と視野が狭くなるからです。
そうした意味では試合の開始直後はあまり望ましくありません。
例えば、30分ハーフであれば残り10分くらいが良いですし、後半になれば15分以降の疲れが出やすい時間帯が良いでしょう。
またいったん試合が中断した時(ボールがタッチラインを出た時、ゴールラインを割った時、ファールした時など)は選手たちの集中が途切れやすくなります。
そうした直後に再開する時(スローイン、ゴールキック)を狙ってやるのも効果的です。
いずれにしても、この外し方は経験がものをいうプレーなので、何度もチャレンジしてみましょう。
③実際の試合を見てタイミングを真似る
実際のプロの試合をよく見ると、マークがボールウォッチャーになるシーンはかなり多いです。
その場合、例えばYoutubeなどで試合を見ながら選手たちの視野を確認してみましょう。
特にJリーガーはボールウォッチャーが多いので、分かりやすいと思います。
④速読で動体視力を鍛える
これはマークをチラ見する時に役立ちます。
この場合、眼球を速く動かすとマークの動きが速く分かるので、ぜひ速読トレーニングで動体視力をしましょう。
また動体視力を鍛えると、試合中の視野が広くなるのでおススメです。
DVD付の安価な書籍教材はいろいろありますが、楽天やAmazonなどで1000~2000円程度で入手可能なので、ぜひ試してみてください。
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【まとめ】
これまで、マークの外し方をいろいろと解説してきました。
特に大切なのは次の点です。
(1)マークを外そうとするとマークは付いてくる
この場合、マークを外す…という自分本位の発想だけではなく、合わせてマークを動かしてスペースを作る…という両方の考え方を理解しましょう。
また、マークの外し方は大きく分けて、離れるか?フェイントをかけるのか?という2つだけなのでシンプルに考えましょう。
(2)マークはボールウォッチャーになりやすい
マークはボールウォッチャーになりやすいので、その瞬間を狙った外し方は効果的です。
でも日本では意外と教えていないようなので、ぜひ覚えてください。
もちろん自分がマークをする立場になったら、ボールウォッチャーにならないように注意しましょう。
以上ようなマークの外し方を覚えることで、ジュニア年代であってもグループ戦術という大人のサッカーが出来るようになります。
ぜひ多くの子供たちが正しいマークの外し方を身に付けるのを願っています。