ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

逆足練習の正しい指導法!【サッカーを脳科学で解明】

日本の育成年代のサッカー指導は、幼少期から「逆足が使えないとダメ!」とか「両足を使え!」などとよく言われます。

でも、本当に、この時期から逆足の練習が必要なのでしょうか?

実は、こうした指導を脳科学的に考えると、大きな問題が隠されています。

そこで、今回は脳科学的な視点から、幼少期からの逆足練習の問題、利き足と逆足の関係、逆足の練習を開始する最適な年齢などについて詳しく解説します。

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1.幼少期からの逆足練習の問題

日本のサッカー指導は、左右両足を均等に使えるようにするため、幼少期からドリブル、キック、トラップとも逆足の練習を繰り返します。

そうした現状において、小中学生の育成年代の将来を考えた場合、3つの問題が考えられます。

(1)海外で活躍できる選手が育たない
(2)幼少期からの体の開きの習慣化
(3)胴長短足による体の開きの助長

(1)海外で活躍できる選手が育たない

日本の育成指導における、利き足と逆足の両方を均等に使いこなすという考えは、見かけだけの器用な選手が増えることを意味します。

またそうした考え方は、すでに親御さんにおいても多くの方が納得されているでしょう。

そうした場合、実際の指導現場では「メッシでもマラドーナでも右足を使う!」「だから逆足の練習が必要!」という決まり文句がありますよね。

たしかに一理あるように思えますが、本当にこの考えが正しいのでしょうか?

実は、メッシやマラドーナが活躍できるのは、利き足のレベルが高いからです。

利き足の技術を最大限に伸ばし、これを武器としていたことから試合で多くの得点が出来たのです。

つまり彼らにとっては、何をおいても利き足があって、だからこそ時々使う逆足が活きた…と考えるべきなのです。

何度もバロンドールを受賞した事実から考えてみても、当然のことではないでしょうか?

また、海外ではこうした考え方が当たり前であって、クリスチアーノ・ロナウドやネイマールでさえも技術の基本は利き足にあるのです。

そのように考えれば、日本の育成のように利き足も逆足も使えるようにする…という指導法は、器用だが平均的な選手しか育たないという問題が起こります。

これは言い方を変えれば、一種の器用貧乏的な選手を大量生産しているようなものですね。

また、日本代表においても、特に右利きの選手にはそうした傾向が見られます。

この場合、近年ではたくさんの日本人選手が海外に移籍しましたが、トッププロの仲間入りをするほどの活躍は出来ていません。

その理由の一つは、利き足のレベルが極めて低いからです。

つまり日本の育成指導では、海外で活躍できる選手が育ち難いわけですね。

そもそも、日本は政治や経済では先進国ですが、サッカーでは後進国なので、強豪国の現実を見習わなくてはいけません。

またサッカーの強豪国には、必ずと言って良いほど天才的なプレーヤーが出現しますし、そのような選手ほど効き足を駆使して大活躍するのです。

そうした点で「逆足も使えるようにする…」という考え方は、中途半端な選手を作り続けるだけで、やはり海外で活躍出来る選手が育たないということなのです。

※利き足と逆足の関係を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
サッカーの利き足と逆足は役割が違う!海外と日本の比較

(2)幼少期からの体の開きの習慣化

幼少期から逆足練習を繰り返すと、ボールを持った時に棒立ちで体が開く習慣を身に付けます。

また、このようにして成長した子供たちは、両足の間にボールを置くという悪いクセも目立ちます。

実はこうした体の開きは、サッカーなどのスピーディな動作を要するスポーツには向かない体勢です。

その理由は3つあります。

一つ目はパワーを一点に集中できないためスピードが出せない。
二つ目は体の軸が不安定になる。
三つ目は上半身が効果的に使えない。というという点です。

また体が開いた状態は、立ったり歩いたりという日常的な動作と変わりません。

そうすると、両足のマーカードリブルや両足リフティングなどは歩く動作を繰り返すのと、それほど変わらないのです。

別の意味では、日常生活で必要とされる抗重力筋(立ったり歩いたりするための筋肉)を鍛えているだけであって、サッカーで最も大切な軸足や中心軸(体幹)さえも強化していないのです。

これに対して、利き足を強化すると体の開きがなくなり、体幹や軸足も強化されます。

なぜなら、軸足も強くなるので、常に半身で片足立ちの姿勢を取れるからです。

例えば利き足だけでドリブルしたり、リフティングをするだけでも、三ヶ月ほど経てば半身の姿勢を維持するようになります。

また、軸足も強化されるので、パワーが一点に集中出来てスピードが出せる、体の軸が安定する、上半身が効果的に使えるという3つの効果が現れるのです。

こうした利き足の強化によってサッカーが上手くなるという事実は、歴史的にもメッシやマラドーナという天才の存在が証明しています。

こうした場合、私は逆足練習を否定するつもりはありません。

あくまでも、幼少期からの過度な両足練習が問題だと考えているのです。

そうした点を踏まえ、逆足練習を始めるのは利き足のレベルを最大限に引き上げて、全てのテクニックをマスターしてからでも遅くはないと思っています。

※体が開く弊害を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
体が開くとは?サッカー指導者が気付かない両足練習の弊害

さて次は、日本人の体が開きやすいことや胴長短足傾向が進んでいるという、衝撃の事実について解説します。

(3)胴長短足による体の開きの助長

日本人は欧米人と比べると胴長短足傾向ですが、この事実は今も昔も変わりません。

またそうした現状では、必然的に体が開きやすくなります。

これはどういうことか?と言うと、「やじろべえ」を想像すると分かりやすいと思います。

やじろべえは頭でっかちなので、そのままでは倒れてしまいますよね。

そこで、両腕を長くしてバランスを保つことで、立ち続けられるのです。

これをヒトの動作に例えてみましょう。

欧米人は足が長く、やじろべえの長い腕と同じような役割を持つことから、そのままでも安定して日常生活が出来ます。

ところが日本人は胴長短足なので、身長に占める上半身の割合が大きいため、自分の足を使ってバランスを取るのが大変です。

そうすると両足を左右に広げて(いわゆる「がに股」)安定を保とうとすることから、自然と体が開きやすくなるのです。

つまり日本人は、欧米人よりも体が開きやすいということです。

でも、日本人は戦後から栄養状態が改善して体型が変化したため、欧米人なみに足が長くなっているはず…、だから体の開きもないのでは…?という反論があるでしょう。

ところが、文部科学省の平成27年度学校保健統計調査報告書(昭和24~平成27年度の統計)によれば、子供たちの身長は戦後から上昇傾向が見られたものの足の長さは伸びていない…、むしろ相対的に短くなっているという事実が判明しています。

つまり、日本人は公的データにおいても短足傾向が明らかなのです。

この報告書の「年齢別下肢長(平均値の推移)」によれば、男子の場合は平成6年頃に17歳の足の長さが80㎝に近かったのですが、それ以降はだんだんと短くなっています。

※下肢長(足の長さ)=身長-座高

また「年代別比下肢長(5~17歳までの変化)」によれば、男子の場合は12~13歳の思春期を超えると急激に比下肢長の割合が下がってしまいます(比下肢長とは身長に占める足の長さの割合)。

※比下肢長(%)=下肢長(足の長さ)÷身長×100

これらの統計データから分かることは、日本人は若年世代から胴長短足傾向になっているということです。

特に、先ほどの12~13歳の思春期を超えると、急激に身長に占める足の長さの割合が下がっていることから、日本の子供は成長期に身長は伸びても、足は長くならないということですね。

つまり、日本人の胴長短足傾向は今でも変わらないのです。

そうした現状では体が開きやすいため、幼少期から逆足の練習を繰り返すと、体の開きをますます助長します。

要するに、幼少期から逆足練習を繰り返した子供たちは、大人になっても体が開くという悪い癖が直らないわけですね。

文部科学省の統計データからも明らかなわけですし、日本サッカー協会としてもこうした育成年代の問題にそろそろ気が付くべきでしょう。

さて次は、逆足を使う時にヒトの脳はどのように働くのか?ということで、逆足練習と脳科学の関係を解説します。

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2.逆足練習と脳科学の関係

ここでは、逆足を使う時に脳内ではどのような働きがあるのか?利き足と逆足の関係は脳科学的にどのように考えれば良いのか?という点について詳しく解説します。

その際、特に重要な点が5つあります。

(1)左脳と右脳の関係
(2)逆足を使う時の脳の働き
(3)利き足のレベルの高さと逆足の関係
(4)利き足と逆足を均等に練習する矛盾
(5)逆足練習を始める最適な時期

そこで、次に5つの点について解説します。

なお、私のブログは中学生も読んでいるようなので、専門的な表現を避けて出来るだけ分かりやすく説明したいと思います。

その際、脳科学的な解説を簡略化するため、厳密にはやや異なる点があるかも知れませんが、そうした点はあらかじめご了承ください。

(1)脳の働き

ヒトの脳は左脳と右脳に分かれていて、運動をする時は左脳が右半身を、右脳が左半身をコントロールしています。

また左右の脳は利き足や利き手とも関係しているので、右利きは左脳の働きによって指令を受けることになり、左利きはその反対になります。

一方、左右の脳は「脳梁」という神経の束で繋がっていて、その役割は、左右の脳の情報のやり取りを行うものです。

そうすると逆足と利き足の関係も、こうした左右の脳と脳梁の働きに影響を受けるわけですね。

そこで、次に逆足を使う時の脳の働きを考えてみましょう。

(2)逆足を使う時の脳の働き

逆足を使う時の脳の働きとして、右利きのサッカー選手が、逆足の左を使ってボールを蹴る時の脳の仕組みを考えてみましょう(この選手は逆足の左をほとんど使ったことがないと仮定します)。

そうすると、この選手はふだん利き足の右を使うので、いろいろなキック動作は左脳でコントロールされますよね。

その際、左足で蹴る動作は右脳を使って記憶されますが、ほとんど蹴ったことがないので情報不足により上手く蹴れないはずです。

ところが、実際には、上手い下手を別にすれば何とか蹴れてしまいますよね。

これを脳科学的に考えると、先ほどの脳梁の働きが深く関係します。

この場合、左で蹴る時の右脳は情報不足ですよね。

そうすると、脳梁を通じて左脳(利き足の右)に記憶されたキックの動作の情報を引っ張り出してくるのです。

でもそれだけではありません。

先ほど運動をする時は左脳が右半身を、右脳が左半身をコントロール…と解説しましたが、左右の脳には共通の因子があることも関係します。

これは何か?というと、例えば、歩く、走るなどの両足を使う動作を考えると分かりやすいと思います。

先ほどの解説では、左足を動かす時は右脳を使い、右足を動かす時は左脳を…という解説をしましたよね。

そうすると、これらの働きは厳密に分けられているように思えますが、実はそうではなく、左右の脳が協同する場合があります。

例えば、歩行などの両足を使う動作の場合、左脳と右脳が別々に働いているのではなく、お互いが協力して左右の足をコントロールしているのです。

また、両足を使って歩く…という動作は、試合中に右足で蹴ったり左足で蹴ったりという動作にも応用できます(つまり脳が何とかしてくれるということ)。

だから、右利きの人が逆足を全く使ったことがなかったとしても、何とか蹴れてしまうわけですね。

つまり、こうした現象が左右の脳には共通の因子がある…という意味です。

要するに、右脳と左脳がお互いに助け合って体を動かしてくれるわけです。

これは、とてもよく出来たメカニズムですね。

こうした現象は、利き手と逆手の関係でも同じです。

例えば、あなたが右利きであったとします。

そして、左手を使って「サッカー」という文字を書いてください。

そうすると、字の書き順は右手で書いた時と同じように書こうとしていませんか?

また本来なら何も書けないはずなのに、不思議だとは思いませんか?

これは何を意味するのかというと、利き手で書いても、逆手で書いても、左脳と右脳が脳梁を通じて助け合っているということです。

これは食事する時も同じで、右利きの人が、逆手の左で箸を持っても何とか食事が出来ます。

やはり、これも左右の脳が助け合っているわけですね。

要するにサッカーで逆足を使う時も、左右の脳が助け合って、しかも自分が意識しなくても自然に何とかしてくれるのです。

とても便利な働きですね。

こうした脳の働きは、逆足練習を効率的に行うという考え方に応用できますが、詳細については後述します。

さて次は、利き足のレベルの高さと逆足の関係を解説します。

(3)利き足のレベルの高さと逆足の関係

書道はふつう右手で書きますが、字の上手い人は逆手で書いても上手いです。

これは先ほどのように、左右の脳が助け合っているから…というだけの理由ではありません。

実は、とても大切な事実が隠されています。

それは何かと言うと、字の上手な人(右利き)の左脳は、字の上手い書き方の動作(ハイレベルの字の書き方)を記憶しているということです。

そうすると字の上手な人が逆手で書く時の、左右の脳の働きはハイレベルの助け合いが行われるわけですね。

こうしたことは、サッカーの逆足と利き足の関係にも置き換えることが出来ます。

つまり、利き足のレベルが高い人ほど逆足で蹴っても上手いということです。

そうすると利き足のレベルを極限まで高めれば、逆足の練習は短期間で上達すると考えられます。

なぜなら逆足を練習する時も、先ほどの書道と同じように左右の脳がハイレベルの助け合いをしてくれるからです。

そうした意味で、私たちの脳は、とても効率的なメカニズムになっているのです。

(4)利き足と逆足を均等に練習する矛盾

子供が幼少期からサッカーを始めて、ほぼ毎日同じ1時間の中で左右両方の足を均等に練習したとします。

そうすると、単純計算では利き足と逆足は30分ずつ練習したことになります。

これに対して利き足だけの練習をずっと続けていたとしたら、どうなると思いますか?

10年以上経ったら、利き足のレベルに大きな差が出てくるはずです。

この場合、両足練習を続けた子供は、利き足の練習を続けた子供と比べて利き足も逆足も半分しか成長しません。

この事実は、脳科学的に考えても当然のことです。

そこで、右利きの子供が右足だけの練習を続けた場合と、左右両足の練習を続けた場合の脳の働きを比べてみましょう。

そうすると、それぞれの子供の左脳に蓄積された利き足のレベルの情報量(利き足がどれだけ上手くなったかという情報量)にも、大きな差が出て来ます。

利き足だけの練習を続けた子供の左脳に100の情報量が蓄積したとすれば、左右両足の練習を続けた場合の子供の左脳には50しか蓄積されないという結果が出て来るはずです。

つまり、両足練習した子は、利き足を使い続けた子の半分しか上手くならないわけですね。

したがって、両足練習を続けたから、サッカーが上手になるというのはあり得ないのです。

これは練習量の点から考えても、脳科学的に考えても、サッカーが上手くならないのは明らかです。

その結果、利き足だけ練習した子供が、例えばユース年代になって初めて逆足の練習を始めたとしても、その時点の子供の脳にはハイレベルの利き足の情報量があります。

そうすると逆足の練習をする時は、左右の脳が助け合うので、短期間で上達するのです。

このように考えると、日本の育成指導における両足練習は、脳科学的に見ても大きな矛盾を孕んでいるわけですね。

さて次は、逆足練習を始める最適な時期について解説します。

(5)逆足練習を始める最適な時期

逆足練習を開始する最適な時期は、子供の骨格の完成時期を考慮する必要があります。

文部科学省の平成27年度学校保健統計調査報告書(昭和24~平成27年度の統計)によれば、子どもの身長は15歳くらいまで伸び続けますが、その後は伸びても数㎝です。

つまり日本の子供は、この時期までに骨格がほぼ完成するのです。

したがって、この時期までに利き足のレベルが高くなっていたとしたら、体の開きがなく体幹や軸足も安定しているので逆足練習を開始しても問題はありません。

またこの時点から逆足練習を始めても、脳科学的には短期間で上達することにもなります。

ただしこの時期までに利き足のレベルが低く、ドリブル、キック、トラップなどの全てのテクニックが完成していない場合は、逆足練習を初めても意味がありません。

その理由は、例えば右利きであれば左脳への情報量の蓄積(利き足のレベルが高くなったという情報)が足りていないからです。

そうした場合は明らかに練習不足なので、利き足の練習を継続してレベルを高めてから、逆足の練習を始めた方が良いでしょう。

ちなみに、私の息子「とも」は2019年4月現在で14歳(中学三年生)です。

この2~3年で急激に身長が伸びたので、たぶん1年後までにあと数㎝伸びた後で成長がほぼ止まると思います。

また、現在はまだ利き足の練習を継続していますが、ドリブル、キック、トラップなどのほぼすべてのテクニックが完璧になるまでには、あと1年くらいはかかると思います。

そうすると高校生くらいから徐々に逆足を練習したとしても、短期間で上達できるものと考えています。

これは脳科学的に考えても、何ら問題はないのです。

3.まとめ

これまで、日本サッカーの育成指導における幼少期からの逆足練習の問題、逆足練習と脳科学の関係などを解説しました。

特に日本のサッカー指導は、小中学生の育成年代の将来を考えた場合、3つの問題が考えられます。

(1)海外で活躍できる選手が育たない
(2)幼少期からの体の開きの習慣化
(3)胴長短足による体の開きの助長

その一方で、逆足を使う時の脳内の働きには、特に重要な点が5つあります。

(1)左脳と右脳の関係
(2)逆足を使う時の脳の仕組み
(3)利き足のレベルの高さと逆足の関係
(4)利き足と逆足を均等に練習する矛盾
(5)逆足練習を始める最適な時期

この中で特に重要なのは、利き足のレベルを極限まで高めることで、逆足の練習は短期間で済むということです。

そうした点では、幼少期からの逆足練習はあまり意味がなく、また利き足と逆足を均等に練習する矛盾もはっきりしています。

また、脳科学的に考えても、こうした見方は常識なのです。

そこで、日本のサッカー指導者の多くが、ぜひきちんと勉強して正しい育成指導をされることを願っています。

【画像引用:Youtube.com