ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

 サッカーの感覚で大切な2つの点!上達に必要な意識とは?

あなたはサッカー選手として、とても大切な2つの感覚があることを知っていますか?

この2つの感覚を身に付けると、あなたのプレーは劇的に進化します!

そこで、今回はサッカーに大切な2つの感覚について解説します。

※この記事は2つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【サッカーと感覚の関係】

2ページ目(←クリック!)
【感覚を覚える(息子の例)】
【まとめ】

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【サッカーと感覚の関係】

サッカーで最も重要な感覚は、次の2つに分けられます。

(1)テクニックの感覚(皮膚感覚と運動感覚)
(2)プレー中のイマジネーション(イメージ作り)

(1)テクニックの感覚

①皮膚感覚と運動感覚

皮膚感覚

ヒトの全身を覆う皮膚には、触点(しょくてん)、痛点、冷点、温点という4つの感覚点があり、いずれもセンサーの役割を持っています。

また、この感覚点で得た情報は神経を通じて即座に脳に送られることで、何かに触れた、痛い、冷たい、暖かいと認識するのです。

このうちサッカーで大切なのは、触点になります。

触点は、肌(特に足)にボールが触れたり当たったりした時の感覚点ですが、これは痛点に比べて約1/10程度しかありません。

その理由は、防衛本能として痛点がたくさんあることでケガや病気に早く気付くためですが、触覚はただちにこうした危険を察知するようには出来ていないのです。

さらに触点は体の部位によって感度が違っていて、手の指の感度が最も高くなっています。

また足と手の指の感度を比べると、足の指は手の指の1/3~1/4の感度しかないので、日常生活では感覚が鈍いです。

この場合、ボールに触れたなどの触点の感覚は脳で感じますが、こうした刺激を脳細胞に与え続けると活発に動いて敏感になります。

ところが、与えないと脳細胞がどんどん死滅して退化するのです。

だから、出来るだけボールに触って触点を刺激しないと繊細なボール感覚が身に付かないわけですね。

運動感覚

運動感覚とは、ヒトが運動する時に筋、腱、関節内に備わっているセンサーが、体の動きを感知して、その情報を脳に送ることで、動きの善し悪しの判断材料を提供します。

例えばボールを蹴る場合は、ヒザや足首の角度、ヒザを振る時の力加減(パワーとスピード)などを感知して脳に情報を送ります。

この場合、上手く蹴れない時は「バックスイングを大きくしてみよう」とか「インパンクトを強くしてみよう」というように、いろいろと蹴り方を工夫しますよね。

そうした時に、先ほどの筋、腱、関節内のセンサーが体の動きを感知しているからこそ、自分のキックフォームが正しいか間違っているのかが判断できるわけです。

もしも、こうした運動感覚が鈍いといつまで経っても上手く蹴れません。

でも、先ほどの皮膚感覚と同様に、たくさん蹴って、筋、腱、関節内のセンサーに頻繁に感知させる…、つまり刺激を与え続けることで脳細胞は活発に動きます。

そうすることで、脳が正しい体の動きを覚えて上手く蹴れるようになるのです。

②テクニックの正確さと感覚は比例する

テクニックの正確さは、先ほどの皮膚感覚や運動感覚の敏感さや繊細さに比例します。

これはどういうことかと言うと、寿司職人を例にして考えてみましょう。

あなたが寿司屋に行ってマグロの大トロを注文して二つの寿司が皿に乗って出て来た時、腕の良い職人であればネタ・シャリとも同じ分量の寿司が出て来ますよね。

不思議だと思いませんか?

寿司職人はロボットではなく人間ですよね。

これを先ほどの皮膚感覚や運動感覚で考えると、寿司職人は手の指で同じ分量を見定める…という感覚を脳が覚えているわけですね。

だから、何度でも同じような寿司が握れるのです。

これは、サッカーのテクニックの正確さにも同じことが言えます。

子供がボールの蹴り方をきちんと覚えて、そして狙ったところに百発百中で蹴れるようになるためには反復練習が必要ですよね。

その時、いくら見よう見まねで覚えたとしても、それは形を覚えただけでしかありません。

この場合、そもそもボールを蹴る瞬間は、足がどのように当たっているのか…なんてことは、実際に見れませんよね。

そうすると否が応でも足の皮膚感覚に頼るしかないのです。

だから何気なく蹴っていたとしたら、決して上手くなりません。

特にサッカーが上手くなる子は、こうした感覚を自分なりに感じ取って大切にしています。

そうして成長して一流選手になったのが、メッシやマラドーナではないでしょうか?

しかも、一流選手になればなるほど、基礎基本のテクニックをたくさん練習しますが、これは自分の感覚のズレがないかの確認作業になります。

つまりボールが足に当たったという皮膚感覚(足の指の触点)や、どのように足を動かしたのか?という運動感覚を意識することで、初めて正確な蹴り方が身に付くのです。

そうした意味では、テクニックの正確さを形だけに目を向けるのではなく、最終的には感覚が重要になるわけですね。

③感覚を身に付けるために大切なこと

薄手のシューズか裸足で練習する

日本代表の中島選手は、アディダスの新スプリントスパイク発表会「ADIDAS WORLD CUP DAY 2018」で、次のようにコメントしています。

やはり素足の感覚というか、普通はスパイクを履いているけど、感覚的には履いていないようなフィット感というのは自分にとって重要ですね。

やっぱり履き心地がいいのが一番いいですね。なので結構グニャグニャにして柔らかくしてから履きます。

【引用出典:「ゴール前では何も考えない」

これは、先ほどの皮膚感覚のことを指します。

過去の記事で、サッカーの自主練では意外と学校の上履きがおススメと解説しましたよね。

これは子供の皮膚感覚を発達させるためには、やはり薄手のシューズか裸足で練習するのがいちばん良いということです。

例えばリフティングは素足にシューズを履いて練習すると早く覚えられますが、その理由はボールタッチの感覚が分かりやすくなるからです。

私は30年前にブラジルのクラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていましたが、当時の子供たちは裸足でサッカーをするのが大好きでした。

これに対して日本の子供たちは、厚手のシューズを履いてサッカーをしますよね。

これでは皮膚感覚は身に付きませんし、繊細なボールタッチが覚えられないでしょう。

ブラジルの子供たちがサッカーが上手くなるのは、幼少期から裸足でボールを蹴っていたことも大きな理由の一つなのです。

しかも、そうした感覚の刺激は脳細胞が活発に動いて、どんどん記憶されますからね。

そうした点では、ぜひ薄手のシューズか裸足で練習しましょう。

感覚のズレと修正

皮膚感覚や運動感覚の感じ方は、子供によって違います。

例えばボールを蹴った時に、「ボールが凹んだ」と言う子もいれば、「ボールが肌をこすった」と言う子もいるでしょう。

そうした感じ方はその子にとってのオリジナルの感覚なので、大人があれこれ口出しするのではなく、子供の意見を尊重なくてはいけません。

なぜなら大人が口出しすると子供は思考停止になるので、自分で工夫したり感じ取ったりという成長思考が芽生えなくなるからです。

この場合、上手くなる子は自分で覚えた感覚を基準にするので、もしも上手く蹴れない時は、先ほどのメッシやマラドーナのように自然と感覚のズレを修正しようとします。

だから、いつも正確なプレーが出来るようになるのです。

こうした子供の考え方の根底にあるものは、テクニックを感じて考えるということです。

そうすることで、大きく伸びて成長するわけですね。

でも、こうした感覚を大切にしない子もいると思いますが、そうした場合は大人が積極的に問いかけると良いでしょう。

例えば「今、蹴ったボールは足のどこに当たった?」「当たった時はどんな感じだった?」などですね。

もちろん最初のうちは「痛かった」という大雑把な答えも出るでしょうが、何度も繰り返して問いかけるうちに、子供なりに感覚を意識するようになります。

そうすることが、成長のきっかけになるのです。

形にこだわらない

私がブラジルのコーチ時代に学んだことで、最も印象的だったのが「ボールの蹴り方には正解がない」ということです。

極端に言えば、よほどおかしな蹴り方をしない限りは指導を控え、きちんと狙ったところに蹴れば良いとされていました。

そうした意味では、私の息子「とも」がインステップキックを蹴る時の足の場所は少し違います。

どちらかと言えば足の甲の内側です。

ふつう、この場所は無回転シュートを蹴る時のミートポイントですね。

本人はこの部分にボールを当てた方が狙ったところに蹴れますし強いキックを蹴れるので、私は息子の考えを尊重しています。

要するに子供の自主性を尊重する方が長い目で見て成長するので、あまり形にこだわらない方が良いのです。

その方が自分でいろいろと感じて覚えようとするからです。

これに対して日本の育成指導は、形にこだわり過ぎです。

蹴り方一つとっても、こうあるべき!という考えがあるのでしょう。

これでは大人の言うことだけを聞く優等生にはなれるでしょうが、子供が自立して成長するのは難しいと思います。

そうした意味では、ある程度は自由に蹴らせて、いろいろと感じさせた方が良いのです。

(2)プレー中のイマジネーション(イメージ)

プレー中のイマジネーションの感覚は、それほど難しいものでありません。

なぜならテクニックの感覚として必要な皮膚感覚と運動感覚を、それほど必要としないからです。

この場合、皮膚感覚と運動感覚は幼少期から身に付けないと脳細胞が衰えてしまうので、日ごろからの反復練習が必要です。

でも、プレー中のイマジネーションは、戦術やオフザボールなどに関わる高度なスキルなので、小中学生の内からそれほど重要視する必要はありません。

例えばゴール前でミドルシュートを蹴る時、目の前にディフェンダーがいるので、それを避けようとして高いシュートを蹴ろうとすると、ゴールのバーを越えてしまうことがよくありますよね。

これに対して次の動画のようにディフェンダーをブラインドに利用して、グラウンダーのシュートを蹴る(コウチーニョの例)のは、練習や試合経験を経て身に付くスキルです。

それこそプレー中のイマジネーションとしての想像力が働くというわけですね。

いわゆる得点感覚と呼ばれるものは、ほとんどがこうしたものに該当します。

実際にもユース年代を過ぎてから成長する選手のほとんどは、テクニックの部分よりも、こうしたプレー中のイマジネーションの占める割合が多いです。

これは試合や練習を積み重ねることで、いろいろな経験値が増えた結果、成長するわけですね。

つまりこうしたプレー中のイメージなどは、後からどうにでもなるのです。

そうした意味で、育成年代の子供たちには、先ず最初にテクニックの感覚としての皮膚感覚と運動感覚の養成を優先するべきではないかと思います。

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さて、次は私の息子の幼少期のプレーを例にして、どのようにして感覚を覚えたのかを解説します。

ぜひ参考にしてください。

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