ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します│少年サッカー育成ドットコム https://football-junior-training.com ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します Sat, 20 Feb 2021 04:23:36 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.2.20 サッカー少年と新型コロナ!病気の特徴をきちんと理解しよう https://football-junior-training.com/covid-19 Mon, 22 Jun 2020 07:45:53 +0000 https://football-junior-training.com/?p=11910 新型コロナは2020年6月現在でいくつかの有効な治療薬が見付かったものの、根本的には未だにワクチンが作られていないという問題があります。
特に育成年代のサッカー少年をお持ちの親御さんは、子供が感染したらどうしよう…という心配が尽きないでしょう。
でも新型コロナに対して恐れるだけではなく、この病気の特徴を正しく理解して家庭でもどのように対処すれば良いのか?改めて考えてみましょう。
そこで今回は新型コロナを正しく理解するという点について、免疫やウィルス学の観点から詳しく解説します。

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【新型コロナと免疫】

(1)新型コロナはインフルエンザの一種

新型コロナはインフルエンザの一種で呼吸器系の病気です。
特に問題なのは毎年流行するふつうのインフルエンザと違って、ほぼすべての人が抵抗力(または抗体)を持っていないという点です。
これに対して日本ではほとんどの人が感染しても軽症か無症状の場合が多く、重症化するリスクが高いのは持病がある人、妊婦、幼児、高齢者とされています。
例えばタレントの志村けんさんは飲酒などによる肝機能の低下、岡江久美子さんはガン闘病中という免疫機能が低下する中で亡くなった…というのが現状です。
つまり免疫機能の低い人が新型コロナに感染すると重症化しやすいというわけですね。

そうするとサッカー少年に限らずお父さんやお母さんでも、ふだんの免疫機能が高ければ感染しても重症化しにくいと考えられます。

そこで冷静に落ち着いて考えてみてください。
これって日常生活で風邪を引くかどうか…、そのための予防はどうしたら良いのか…という発想と似ていませんか?

ここで大切なのは新型コロナに対して過剰な恐怖心を抱くのではなく、病気の予防という根本的な考え方を理解することではないでしょうか?

参考記事:厚生労働省「新型インフルエンザ入門」

(2)サッカー選手は免疫機能が低い?

イングランドプレミアリーグのチェルシーの元チームドクターであったカルネイロ氏によれば、サッカー選手は免疫機能が低く新型コロナに感染しやすいとして、次のように語っています。

「プロ選手は定期的に免疫力低下になることが証明されています。血液検査、上気道感染症などの感染症の罹患率によって実証されており、それが今回のようにウイルスに感染する要因です。それらはスポーツの運動量にもよります。72時間ごとにある試合、プロレベルでの肉体的活動、そして練習も同様に体に負担をかけます」

これはたしかに一理あると思いますが、あくまでも病気と運動強度との関係を説いたものです。
ところが免疫機能を改善すれば病気にかかりにくいという免疫学の視点が欠けています。

つまり過度な運動をするのであれば、それに応じた免疫力アップの対策が必要なのです。

そうした意味でサッカー選手だから免疫機能が低い…とだけ決め付けるのではなく、免疫力アップの方法を考えるべきでしょう。
くれぐれも新型コロナの恐怖感だけに煽られるのではなく正しい知識を持つべきです。

参考記事: サッカー選手、なぜ新型コロナ感染が多い?

【感染予防と感染経路】

新型コロナの感染を防ぐためには3密を避ける、手洗い、うがい、マスク着用等はかなり徹底されていると思います。

この場合、先ほど解説したとおり新型コロナはインフルエンザの一種なので、その感染経路は主に2つです。

一つ目は飛沫感染です。
これは感染した人のくしゃみや咳(せき)吸い込むことによる感染で、特に感染者から2m以内にいる人は危険性が高いことから、いわゆるソーシャルディスタンスが出て来るわけですね。

2つ目は接触感染です。
これは単に感染した人に接触しただけで直ちに感染するのではなく、例えば手にウィルスが付着して、その手で目(結膜)、鼻、口を触った場合を指します。
つまり自分の手に新型コロナウィルスが付着しても、目(結膜)、鼻、口を触らずに手洗いをするか、消毒すれば感染を防げるということになるわけです。

それでは空気感染はどうなのか?というと、現在のウイルス学で空気感染する病気は結核、麻しん、水痘などに限られています(ほとんどの日本人は幼児期に予防接種をしている)。

したがって新型コロナは飛沫感染や接触感染に注意すれば、かなりの割合で感染を予防できるとされているのです。
この点は意外と勘違いされている方が多いので注意した方が良いですね。

でも、これってやっぱり風邪の予防に似ていませんか?

参考記事: 子どもたちの健康のために

【新型コロナの本当の終息とは?】

新型コロナは未だに万全な治療法やワクチンが作られていないという厄介な病気ですが、果たして本当の意味で終息するのでしょうか? 非常事態宣言が終わったからと言っても終息したわけではありませんよ。

そこで、こうした点をウィルス学と集団免疫の点から考えてみましょう。

この場合、特定のウィルスが数年以上の長期間に亘って蔓延するとしだいに抵抗力を持った人が増えて、病原性の力が相対的に弱くなるという傾向があります。
例えば第1次大戦中に世界中で蔓延したスペイン風邪が代表例ですね。この当時は有効な治療薬がなかったものの抵抗力を持った人が増えたため、その他の人が感染した場合でも軽症で済むケースが多くなり、やがては終息して行ったわけです(つまりウィルスの弱毒化)。

ウィルス学の考え方によれば、ヒトは古来からいろいろなウィルスに感染しながら抵抗力を付けて病気を克服して来ました。
つまり大昔にはワクチンや薬がなかったので、抵抗力を付けるしか対処法がなかったわけですね。
もしもヒトが特定のウィルスとの戦いに負けていたとしたら、人類は大昔に絶滅していたはずです。

テレビでおなじみの池上さんなどは「 スペイン風邪は、いつの間にか終息した…」となどと大雑把な意見を言っていましたが、これはウィルス学の基本を理解していれば、終息した理由がきちんと分かるはずだと思います。
簡単に言えば、ヒトの免疫が強くなったためにウィルス自体がやがて大人しくなってしまったということですね。

つまり、これが集団免疫の考えであり、こうした理論を徹底したのがスウェーデンの新型コロナ対策です。
これに対してスウェーデンは多数の死亡者を出したということで失敗だったのではないか?という批判がありますよね。

でも、先ほど解説したとおりヒトとウィルスとの歴史に基づけば、実は集団免疫の獲得の考え方には、免疫力の低い妊婦、幼児、高齢者 持病がある人などの死亡リスクの可能性は防ぎきれないものとされているのです。
残酷な言い方ですが、これがウィルス学の理論なのです。

もちろん死亡リスクを可能な限り抑えるのは言うまでもありませんが、むしろヒトとウィルスとの文字通り命を賭けた戦いの歴史によってウィルス学が発展 (つまり医学全体が発展) したとも言えるでしょう。

そうした点で話を整理すると、新型コロナウイルスを終息させる本来的な手段は2つの方法が考えられます。

一つ目は集団免疫を獲得することです。
二つ目はワクチンを開発することです。

この2つの方法によって本当の意味で新型コロナが終息するわけですね。

でも日本の緊急事態宣言による外出自粛の措置は医療崩壊を防ぐための感染防止を優先したことから、未だ集団免疫を獲得したとは言えません。そうすると終息までにはワクチンの開発を待たなくてはいけないでしょう。

したがって、これから日本政府がスウェーデンのような集団免疫を獲得する政策をやらない限り(たぶんやらないと思います)、新型コロナの終息はどんなに早くてもワクチンが開発される年末か来年になるのではないでしょうか?

参考記事:新型コロナウイルス感染症対策

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【まとめ】

新型コロナは2020年6月現在で未だにワクチンが作られていないことから、 終息までにはどんなに早くてもワクチンが開発される年末か来年になるでしょう。
特に育成年代のサッカー少年をお持ちの親御さんの心配は尽きないと思います。

でもいたずらに恐怖感だけを持つのではなく、この病気の特徴を正しく理解して、家庭でもどのように対処すれば良いのかを改めて考えてみませんか?自分たちでやれることは、いろいろとあるはずですよ。

さて次回は、昨年から我が家で実践している新型コロナへの対処法として、意外と簡単な免疫力アップの方法について解説します。

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コントロール・オリオンタードとは何か?スペインに学ぶ! https://football-junior-training.com/control-orientado Wed, 19 Feb 2020 15:30:12 +0000 https://football-junior-training.com/?p=11632 コントロール・オリエンタードはサッカーの基礎基本です。

ところが多くの日本人はこの意味を分かっているつもりでも、意外と理解していないと思います。

そこで今回はコントロール・オリエンタードとは何か?そして3つの大切な点について解説します。

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【コントロール・オリエンタードとは】

日本では、コントロール・オリエンタードを「方向付けのトラップ」と解釈しています。

次の動画では「何気ないようだけど、これを知っているとボールが奪われない…」と解説していますよね。

こうした言葉の意味を、あなたはきちんと理解出来ていますか?

この場合「トラップする時にピタッと止めるのではなく、少し前に出せば良い…」という程度の理解だったら、それは単に見た目を真似しただけに過ぎません。

そもそもこのスキルは、パスを受ける時にボールを足元に止めると相手に奪われやすいから、動かして守らないといけない…という発想が根底にあります。

つまりコントロール・オリエンタードには、ボールを守るとか奪われないとかのサッカーの基礎基本の考えが集約されているのです。

先ほどの動画では「スペインでは小さい頃(6歳くらい)から子供たちに教えている…」と言っていましたよね。

これは幼少期の子に「サッカーはみんなでボールを繋ぐ…、だからボールを奪われてはいけない…、そのためにはどうしたら良いのか…」などの基本をきちんと理解させていることを意味します。

これに対して日本の6歳くらいの子は団子サッカー真っ盛りですし、こうした状況は8歳くらいまで続きますよね。

そうすると日本とスペインの子供を比べると、ジュニア年代の初期の時点ですでに3年ほどの差が付いてしまっているわけです。

そうした意味でコントロール・オリエンタードをテクニックの一つ…として考えるのではなく、やはりサッカー全体の基礎基本として理解するべきでしょう。

さて次はコントロール・オリエンタードを理解するために大切な3つの点について解説します。

【3つの大切な点】

次の動画は、FCバルセロナのブスケツがボールコントロールについて解説したものです(スペイン語なので分かりにくいですがご了承ください)。

その際、彼はコントロール・オリエンタードの3つの大切な点を説明しています。

(1)パスを繋ぐ役割

ブスケツは、パスを受けてから出すまでの一連のプレーを全てコントロール・オリエンタードと考えているようです。

また、そのために必要なのはボールを奪われずに繋ぐ役割をきちんと果たすという発想です。

これはA⇒B⇒Cとパスを繋ぐ場合に、自分がBであったとしたらAからCに繋ぐという中継地点の役割を意味します(リレーでバトンを繋ぐのと同じ)。

そうすることで、初めてチームとしてのプレーの連続性が成り立つのです。

これは当たり前のように思えますが、日本では必ずしも出来ていないことが多いです。

なぜなら、日本ではパスの出し手と受け手という2人の関係性を重視するからです。

この場合、A⇒Bにパスを繋いでも、次は改めてB⇒Cの関係になるということで、そのつどプレーが途切れることを意味します(ワンテンポ遅くなる)。

これに対してブスケツはA⇒B⇒Cだけではなく、例えばD⇒E⇒F⇒Gくらいの先を見通したチームプレーの連続性を考えているそうです(テンポが速くなる)。

そのために、チーム全員の共通認識が必要なのは言うまでもありません。

こうした考え方はパスの本質を出し手と受け手という個々の選手の問題で考える日本と、チームでボールを繋ぐというスペインの違いとも言えるのではないでしょうか?

またそうした点を踏まえると次のプレーがやり易いところにボールをコントロールするとか、簡単に足元にトラップするのではなくボールは常に動かすもの…という発想が生まれるのは当たり前のことだと思います。

以前、私はクッションコントロール型のインサイドトラップのやり方を紹介した時に次のように解説しています。

トラップはボールタッチの一つとして考え、止め方の問題ではなく、次のプレーのスムーズな切り替えやすさを重視すべきだと思います。

(中略)

インサイドトラップは単に止めるだけのスキルではなく、次のプレーに繋げるためのテクニックとして覚えてこそ本当の基礎基本なのです。

この意味がお分かりですか?

トラップは単に止めるだけだと思いますか?

そうした点を考えるとパスの基本はボールを止めてから蹴る…というよりも、チームとしてボールを繋ぐことを考えるべきなのです。

またそのための大切な考え方が、コントロール・オリエンタードの基本的な発想になるわけです。

(2)状況判断

先ほど、ブスケツは先を見通したチームプレーの連続性を考えている…と解説しましたよね。

これは状況判断のスピードと関係しますが、そのためにはたくさんの経験値が必要です。

経験値とは、パターン化された豊富な戦術を自分の知識としてあらかじめ頭の中に入れておくことを意味します。

例えば次のようなバルサのU12の試合を見ると、パスがよく繋がりますし、個々の選手たちに次のプレーの迷いが見られませんよね(つまり次に何をすれば良いのか分かっている)。

これは練習によって身に付いた豊富な経験があるからです。

しかもバルサの子は必ずと言ってよいほど、ボールを繋ぐ方にきちんとコントロール・オリエンタードをしていますよね。

つまりブスケツの言った「先を見通したチームプレーの連続性」を考えるのであれば、コントロール・オリエンタードでボールを繋ぐ方向に動かすのは当たり前のことなのです。

これに対して日本では、コントロール・オリエンタードと状況判断を結び付ける発想はあまりないように思います。

その理由は子供たちが「トラップする時にピタッと止めるのではなく、少し前に出せば良い…」という程度に、形だけ(つまり見た目)を覚えてしまうからではないでしょうか?

そうした点でコントロール・オリエンタードを身に付けるためにいろいろなトレーニングをしたとしても、状況判断が伴わない練習はほとんど意味がないと思います。

こうした状況は日本の指導者たちが気付くべき問題ですね。

(3)デスマルケ

デスマルケとは、日本では「マークを外す動き」と考えられています。

この場合にパスを例にすると、マークを外すのは受ける直前のオフザボールの問題とされることが多いと思います。

例えば、パスを受ける時にあらかじめスペースに入ってフリーになる…などですね。

でもブスケツによれば「試合中は常にフリーになれるわけではなく、パスを受けた後でも相手のプレスがあるのが当然なので、ボールをコントロールしてかわす必要がある…」と言います。

だから、次のようにボールを受けながらターンしたり、フェイクモーションを使ったり、浮き球を使ったするのは当然なのだそうです。

※こうしたスキルもコントロール・オリエンタードになります。

つまりコントロール・オリエンタードでボールを動かすのは、すなわちマークを外すことに通じるのです。

もっと言えばコントロール・オリエンタードの考え方には、ボールを奪われずに繋ぐ役割をきちんと果たす(当然きちんとマークを外す)という発想があるので、デスマルケとは密接不可分の関係になるわけですね。

それでは、なぜスペインでデスマルケの考えが生まれたのでしょうか?

それはスペインのサッカーが幼少期から体をぶつけ合うような激しいプレーをしているため、きちんとマークを外さないとボールが奪われてしまうからです。

これに対して日本ではフェアプレーが行き過ぎているので、激しいプレーがないことからデスマルケのような考え方が根付きません。

だから日本では、パスを受ける前にマークを外せばそれで十分…という、世界的に見ても幼稚な発想が生まれてしまうのです。

それにJリーグでは激しいプレスなんてほとんどありませんし、Jリーガーが海外のクラブに移籍するとプレーの激しさに驚いたりする…というのはよく聞きますよね。

そうした意味でコントロール・オリエンタードがスペインに根付いた背景には、日本とスペインのサッカーの違いもあるわけです。

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【まとめ】

これまでコントロール・オリエンタードとは何か?そして3つの大切な点について解説しました。

この場合、コントロール・オリエンタードにはボールを守るとか奪われないとかのサッカーの基礎基本の考えが集約されていること、日本とスペインの子供を比べるとジュニア年代の初期の時点ですでに3~4年の差が付いてしまっている現実を理解しましょう。

またFCバルセロナのブスケツが説いた、パスを繋ぐ役割、状況判断、デスマルケという3つの大切な点は考えれば考えるほど奥が深いので、ぜひ覚えてください。

そもそもあなたが想像している以上に、スペインのサッカーは日本の先をはるかに進んでいますし、歴史そのものが長いのです。

だからこそ、きちんと学ぶ必要があるのです。

そうした意味で、ぜひ多くの日本の子供たちがコントロール・オリエンタードを正しく覚えてサッカー強豪国に追い付いてほしいと願っています。

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パス&ゴーの3つの注意点と正しい練習法! https://football-junior-training.com/pass-and-go Tue, 18 Feb 2020 15:00:31 +0000 https://football-junior-training.com/?p=11623 サッカーのパス&ゴーは今や小学校低学年でも覚える基本のテクニックですが、その際に注意するべき3つの点があります。

そこで今回はパス&ゴーとは何か、3つの注意点、正しい練習法について解説します。

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1.パス&ゴーとは何か

パス&ゴーとは、パスを出した後に次のプレーに備えて動き出すことです。

この場合、もしもその場に立ち止まっていたら次の攻撃に参加できませんよね。

また攻撃に参加し続けないと、せっかくパスを受けた味方が孤立(数的優位が消える)することもあり得ますよね。

そうすると攻撃の際に味方との数的優位を作りやすくするという重要性もあるのです。

その際、特に注意するべき三つの点があるので次に詳しく解説します。

2.三つの注意点

(1)パスの蹴り方

試合中のパスはインサイドキックをよく使いますが、日本では未だに次のようなパター型で蹴る選手が多いようです。

こうした蹴り方はフォロースルーで体がそっくり返るため、体勢を立て直すのに時間がかかってしまって素早いパス&ゴーが出来ません。

これに対して正しい蹴り方は、いつも直立姿勢を保てる(蹴った後にそっくり返らない)ので蹴り足が自然と前に出ます。

つまり蹴り足が一歩目になって、パス&ゴーがスムーズになるということですね。

そのためにも、ぜひ正しいインサイドキックを覚えましょう。

(2)膝抜きを使った走り方

パス&ゴーで蹴り足が一歩前に出せたとしても、後ろ足(つまり軸足)で地面を蹴って走り出していたのでは動き出しが遅くなります。

こうした走り方は体重移動と言って、下半身を使って重たい上半身を「ヨイショ」と運ぶようなものです。

そこで膝抜きを覚えて、一歩目で出した前足を効果的に使って動き出しを速くしましょう。

こうした膝抜きは重心移動を使うことで筋力に頼らないことから、特に小中学生のサッカー選手には今のうちにぜひ覚えてほしいですね。

(3)パス&ゴーの考え方

日本では、パス&ゴーは直線的に長い距離を走るものと考えがちです。

その理由はパス&ゴーの練習方法として、次の動画のようなメニューが多いからです。

この場合、動画の前半の練習ではパスを出して真っ直ぐ走っているだけなので、単なる対面パスと同じようなものです。

もちろんダイアゴナルランを意識してわずかに斜めに走っていますが、こうした斜めの動きは試合形式の練習で身に付けるものだと思います。

これに対して動画の後半に見られるワンツーをひたすら繰り返すのは、たしかにパス&ゴーにはなるものの、試合中にこのようなケースはあり得ません。

こうした二つの練習に共通するのは、パス&ゴーは真っ直ぐ長い距離を走るものと考えていることです。

ところが試合中はパスを出した後にいつも直線的に走るのではなく、単に場所を移動するだけの場合も多いです(例えば1~2m程度の移動)し、そのまま止まっていることさえあります。

そもそもサッカーの攻撃においては守備側がゾーンディフェンスで守るため、ボールを運ぶゾーン(いわゆる中盤)とディフェンスラインを崩すゾーン(いわゆるゴール前)とでは選手の動き方が全く違います。

※運ぶゾーンと崩すゾーンの位置関係の違いは、次の動画の0:06から出て来るシーンをご覧ください。

その際、次の動画のようにボールを運ぶゾーンではパス&ゴーで長い距離を速く走る必要はありません(パス&ムーブになる)。

なぜならボールを繋いで奪われないことを重視するので、あまり急いで走る必要がないからです。

それにパスを出してもほとんど動かない選手もいますよね。

これに対して2列目の裏にボールが入るとディフェンスラインの崩しが始まるので、攻撃をスピードアップする必要があります。

なぜなら、そうしないと2列目の守備者が戻ったりゴール前を固められて、攻撃側が数的優位を作れなくなるからです。

そうするとこのゾーンでは直線的な速いパス&ゴーで、いち早くディフェンスラインを崩してシュートまで行く必要があるわけですね。

そうした意味でパス&ゴーはパスを出して真っ直ぐ走れば良いというだけの考え方ではなく、中盤での短い距離を移動するパス&ムーブとゴール前で直線的に走るパス&ゴーに分けて考えた方が良いと思います。

特に日本のサッカーは代表クラスでもボールを運ぶゾーンで一生懸命走ったり、ディフェンスラインを崩すゾーンで動きが急に遅くなったりなど…、とてもチグハグな攻撃が目立ちます。

そうした点で、育成年代のうちからパス&ゴーの本質(つまり運ぶゾーンと崩すゾーンでの動き方の違い)を理解させるべきでしょう。

さて次は練習法について解説します。

3.練習法

パス&ゴーの練習法は「運ぶゾーン」と「崩すゾーン」を想定して、それぞれに分けた練習メニューを考えましょう。

(1)運ぶゾーン

海外では、中盤でパスを出した後の動き方をパス&ムーブと呼んでいます。

こうした練習によって、パスを出したら次にパスを受けるポジションに的確に動くため「どのように動けば良いのか?」という状況判断も身に付くのです。

練習方法としては、次の動画のようにトライアングルパス、パス&ムーブ、コンビネーションなどが良いでしょう。

いずれのメニューも小中高生の基本メニューと考えてください。

もちろんパスを受けたらすぐにパスを出すのではなく、トライアングルパスのようにドリブルでパスを出しやすい場所に運んでも構いません。

こうしたほんの僅かな工夫が選手に考える力を生み出します。

(2)崩すゾーン

崩すゾーンでは、パス&ゴーの直線的な動きが必要です。

最も効果的な練習メニューはワンツーパスです。

その際、パスサッカーに活かすという点を考慮して、ぜひミニゲーム(2対1、3対2、3対3、4対4など)のような試合形式の練習の中で、ワンツー以外のいろいろな動き(ダイアゴナルランや3人目の動きなど)も合わせて覚えましょう。

また、次のようなダイモンドパスなども効果的です。

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4.まとめ

これまでパス&ゴーとは何か、3つの注意点、練習法について解説しました。

特に3つの注意点のうち、パスの蹴り方や膝抜きを使った走り方は練習すれば誰でも覚えられるのでぜひ身に付けてください。

またパス&ゴーの考え方については、単に直線的に長い距離を走るもの…というのではなく「運ぶゾーン」と「崩すゾーン」に応じた使い分けも理解しましょう。

そうすることで日本人にも正しいサッカー観が身に付くはずですし、無意味な練習(試合ではあり得ないシチュエーションを一生懸命練習すること)が無くなると思います。

こうした点は、日本の指導で意外と見落としがちなので注意してください。

ぜひ多くの子供たちのパス&ゴーが格段に上手くなるのを願っています。

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ワンツーパスとは?サッカー初心者にも分かりやすく解説 https://football-junior-training.com/one-two-pass Mon, 17 Feb 2020 15:50:00 +0000 https://football-junior-training.com/?p=11613 ワンツーパスはパスサッカーの大切な基本のプレーの一つです。

そこで今回はワンツーパスとは何か、その本当の意味、練習法などについて解説します。

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1.ワンツーパスとは

ワンツーパスは「壁パス」とも言われ、次のように守備者を壁に見立てて、これを避けるようにパスを通すプレーを指します。

また攻撃側の①はドリブルでディフェンスに接近するか、守備者にわざとプレスをかけさせるなど、間合いを詰めてから②にパスを出すとディフェンス側が反応し難くなるので上手く行くでしょう。

こうしたプレーは一部のネット情報によると、誰でも出来る簡単なもの…という意見がよく見られます。

でも、そうした発想は巷でよくありがちなドリブルの足技を覚えて自己満足するだけの低レベルな考え方と変わりません。

そもそもこの場合に大切なのは単にパスを通すだけの個別のプレーとして考えるのではなく、試合中のパスサッカーにどのように活かすのか?という視点を持つことです。

そうした意味ではワンツーパスの本当の意味をきちんと理解して、試合で効果的に使えるようにしましょう。

2.ワンツーパスの本当の意味

次の動画はメッシとイニエスタのワンツーによってセルヒオ・ラモスを抜くシーンですが、このプレーには大切な3つの意味があります。

(1)数的優位

数的優位の最小単位は2対1ですが、ワンツーも同じ2対1になります。

そうすると子供たちにとって、ワンツーは数的優位の入門的なプレーになるわけですね。

だから単にパスを通すだけではなく、せっかくの数的優位をさらに活かすためにはどうしたら良いだろうか?そのためには次はどのように動けば良いのだろうか?といった状況判断を促す絶好の機会になります(詳細は後述します)。

(2)スペースを作る

ワンツーをやろうとする選手に対してDFがプレスを掛けると、そのディフェンスの背後には必ずスペースが出来ますよね。

そこで攻撃側は相手を引きつけることで、意図的にスペースを作り出すという発想が必要です。

これはダイアゴナルランで相手を釣り出したりするのと同じ考え方なので、ぜひ覚えましょう。

また相手をギリギリまで引き付けるのは、ドリブルの間合いを覚えることと同じ意味を持ちます。

つまりスペース(DFの背後)を作るためには同時に相手との間合いも必要になるので、ぜひそうした点も覚えましょう。

※日本では間合いをドリブル特有のスキルと考えがちですが、これは大きな間違いです。

(3)ダイレクトパスの精度

先ほどの動画では、メッシからのパスをイニエスタがダイレクトパスで返しましたよね。

そうするとパスを返す選手は、DFの背後のスペースに走り込む選手の動きに合わせてパススピードを速めたり遅くしたりというコーディネーション能力が必要になります。

そうした意味では単にパスを返せばよい…という発想ではなく、2人で協力して一つのプレーを完成させるというコンビネーションプレーの精度を意識しましょう。

このようにワンツーパスの本当の意味を考える上では、3つの点が大切です。

そうした意味では単に教科書的なプレーとして覚えるのではなく、その本質をきちんと理解しましょう。

そうすることで、日本人にも正しいサッカー観が根付くと思います。

それにスペイン帰りのどなたかが「テクニックは上手くてもサッカーが下手な日本人…」と揶揄していますからね(笑)。

さて次は実際の試合のゴール前のワンツーパスを見ながら、先ほど解説した3つの意味(数的優位、スペースを作る、ダイレクトパスの精度)がどのように活かされているのかを解説します。

3.ゴール前のワンツーパス

次の動画ではゴール前で使われた4つのワンツーパスがあるので、順に解説しましょう。

なおいずれのケースもワンツーを使う時に守備側がボールウォッチャーになりますが、これは3人目の動きやダイアゴナルランなどと同じディフェンス特有の現象なので参考にしてください。

一つ目は、ワンツーパスを2回使って狭い場所を通ってDFラインの裏に抜けています。

また、狭い場所でのダイレクトパスがピンポイントで2回も繰り返し繋がっていますよね。

これはパスの精度を考える上でとても大切なスキルです。

二つ目は、浮き球のワンツーパスを使って相手の4人のDFを一気に抜いています(つまり数的不利が一気に数的優位になる)。

またラストパスを出す時にギリギリまでDFを引き付けるテクニックは、かなり参考になりますね。

三つ目は、ワンツーパスでDFを釣り出してスペースを作って、そこに侵入してシュートを打っています。

こうしたDFを釣り出すプレーは、数的優位をさらに活かすという点で大切です。

四つ目は、ポストプレーのようなワンツーから、さらに3人目の動きが加わっています。

これは数的優位をさらに活かすという発想ですね。

こうして考えると試合中は単なるワンツーパスに止まるだけではなく、さらに攻撃を飛躍させるという考えを持つことが大切です。

そうした点はいろいろと考えさせることで、選手たちの状況判断が良くなります。

さて次はワンツーをパスサッカーに活かすという点で、FCバルセロナのプレーを見ながら詳しく解説します。

4.パスサッカーとの関係

次の動画では、バルサの選手たちがパスサッカーにワンツーを活かす3つのシーンがあるので順に解説します。

一つ目は、狭いエリアの中で前後左右にパスコースを作ってワンツーやリターンパスを多用していますよね。

これはバルサがパスを出すと相手が動かされてスペースが出来て、そのスペースに味方が入ってパスを受けるということです。

また徐々にペナルティエリアに侵入して行くわけですが、ゴール前ではたった二人だけのワンツーで相手のDFラインを崩してしまうのを見ると、それだけワンツーの破壊力が高いということですね。

二つ目は、中盤の狭いエリアの中で前後左右にパスを繋ぎながら、CBを釣り出してスペースを作っています。

このシーンでは直接ワンツーは使っていませんが、ワンツーに近いパスを多用していることや、パスを繋ぎながら相手を崩すという点では参考になると思います。

三つ目は、先ほどと似ていますが、ワンツーパスでCBを釣り出してスペースを作っています。

また一つ目のシーンと同じように、最後はワンツーパスだけで相手を崩してシュートまで行っていますよね。

つまりそれだけワンツーが効果的ということです。

このようにバルサは中盤でパスを繋ぎつつ、ゴール前でチャンスになったらワンツーを効果的に使っているので、テレビなどで観戦する時はぜひ参考にしてください。

5.練習法

ワンツーパスの基本の動きを覚えるだけなら、30分も練習すれば誰でも出来るようになるでしょう。

でもパスサッカーで相手を崩す…という点を考えるのであれば、ぜひミニゲームのような試合形式の練習の中でワンツー以外のいろいろな動きも合わせて覚えましょう。

そうすることで、子供たちにワンツーの大切な3つの意味が理解出来ると思います。

(1)数的優位

ワンツーの基本は数的優位にあるので、先ずは2対1と3対2の数的優位の練習をやりましょう。

その際、相手を引きつけてDFの背後にスペースを作ってからパスを出したり、ダイレクトパスの精度(コーディネーション)を高めるようにしましょう。

(2)数的同数

数的同数の場合は3対3や4対4から、いかにして数的優位を作ってワンツーをやるのかが大切です。

その際、バルサの中盤でのパス回しを想定して前後左右にワンツーを繋いでDFを動かしても良いですし、ゴール前を想定してディフェンスを崩す練習をやっても良いでしょう。

またワンツーで2対1を作ると必ず攻撃側の人数が余る(3対3なら1人。4対4なら2人)ので、その選手は3人目の動きやダイアゴナルランなどの動きを組み合わせると実際の試合でも活かせます。

(3)ダイヤモンドパス

次の動画のようなダイヤモンドパスはどこのチームでも練習していると思いますが、この練習の全てのパスがワンツーになりますし、とても基本的な動きなのでぜひ練習に取り入れてください。

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6.まとめ

これまでワンツーパスとは何か、その本当の3つの意味(数的優位、スペースを作る、ダイレクトパスの精度)、練習法などについて解説しました。

この場合に大切なのはワンツーが単にパスを通すだけの個別のプレーとして考えるのではなく、パスサッカーにどのように活かすのか?という視点を持つことです。

その際、先ほども解説したとおり数的優位、スペースを作る、ダイレクトパスを使うという3つの点がとても重要です。

そうすることで、日本人にも正しいサッカー観が根付くはずです。

こうした点は、日本の指導では意外と見落とされがちなので注意してください。

ぜひ多くの子供たちのワンツーパスが上手くなるのを願っています。

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ダイアゴナルランとは?サッカー初心者にも分かりやすく解説! https://football-junior-training.com/diagonal-run Sun, 16 Feb 2020 15:00:15 +0000 https://football-junior-training.com/?p=11601 ダイアゴナルランは3人目の動きと共にサッカーのオフザボールの基本なので、ぜひ覚えましょう。

そこで今回はダイアゴナルランとは何か?プロの例や練習法なども解説します。

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【ダイアゴナルランとは?】

(1)基本の動き

ダイアゴナルランとは相手のディフェンスラインを崩すため、斜めに動いてディフェンダーを釣り出すか釘付けにして、味方のためにスペースを作る動きを指します。

例えば、次のように(A)が左右のどちらか斜めに走ることで、相手の左CBの①はマークしようとして、②か③の方に引きづり出すことが出来ますよね。

そうすると(A)のいた元の場所にスペースが出来るので、そこに(B)が侵入することが出来るわけです。

またスペースに侵入した(B)に対し、(X)からパスが通ればシュートチャンスが生まれますよね。

それではどうしてこのような動きが効果的なのでしょうか?

その理由はゾーンディフェンスの特性があるからです。

そもそもゾーンディフェンスは上の画像のように、それぞれのディフェンダーの受け持ちのレーンがあります(画像の赤の四角で囲んだ4箇所⇒4バック)。

そうした場合、(A)が斜めに動いて左CBの①を②の方に動かしたとしたら、①は(A)のマークを②に受け渡す必要があります。

ところが②にとってはすでにマークすべき(C)がいるので、そう簡単には対応できませんよね。

つまりダイアゴナルランはディフェンダーに対して、マークの受け渡しという難しい状況(一種の混乱)を引き起こしてスペースを作るのが狙いなのです。

もっと言えば、マークを外すための攻撃戦術の一つと言っても良いでしょう。

こうしたダイアゴナルランの動き方には、3つの特徴があります。

(2)動き方の特徴

ダイアゴナルランの動き方の特徴は、次の動画のように3つあります。

一つ目は、パスの受け手が出し手の前を斜めに横切るように走るので、パスを出す時のボールの動きが見やすいということです。

しかも受け手は右腕を前方に伸ばして合図を送っていますよね(つまり受け手と出し手の意思疎通が取れている)。

この場合、もしも受け手が出し手に背を向けて真っ直ぐ前に走ったとしたらボールが見えないので、受け手も出し手もパスを出すタイミングが分かりませんよね。

二つ目は、守備側はパスの出し手がいつパスを出すのか?ということでボールウォッチャーになりやすいことです(日本ではあまり理解されていないようですが…)。

これは守備側がボールの行方を見失わないために起こる現象で、3人目の動きとよく似ています。

ちなみに動画のDFはそろってダイアゴナルランの選手にまるで気付きませんでしたが、こうした状況は意外とよくあることです。

三つ目は、ダイアゴナルランで斜めに走った選手はオフサイドになり難いということです。

これは斜めに走る分だけ真っ直ぐ前に走るよりもやや遠回りになるので、オフサイドになり難いということですね。

さて次はダイアゴナルランの狙いであるマークを外してスペースを作るという動きについて、実際のプロの試合の様子を見ながら詳しく解説します。

【マークを外してスペースを作る】

(1)ターゲットはセンターバック

次の動画はダイアゴナルランの代表的な3つのパターンですが、ディフェンダーを釣り出す場合も釘付けにする場合も、そのターゲットは相手のセンターバックを狙います。

一つ目は、FWの選手が斜めに走って左センターバックを右サイド方向へ釣り出したところ、ドリブルして来た選手がそのままシュートしたものです。

この時、SBの選手が慌ててプレスに来ましたが間に合いませんし、右CBの選手(画面の下)は受け持ちレーンではないのでボールウォッチャーになってしまいました。

二つ目は、SHの選手がパスの出し手から縦パスを受ける素振りを見せながら相手CBの前を斜めに走ったところ、CBはマークに付いて行こうか?どうか?躊躇して釘付けになっています。

そして左サイドの選手のマークが外れてフリーとなり、そのままパスを受けてシュートしたものです。

三つ目は、クロスオーバーのような複雑な動きのダイアゴナルランです。

先ずSHの選手が斜めに走って相手の右SBと右CBを中央に釘付けにします。

次に別の選手が中央から左サイドに流れるように斜めに走ると、今度は右SBと右CBが慌ててマークしようとして釣り出されます。

その後、ワンツーパスを受けるようになりますが、ゴール前にスペースが出来てしまいシュートしています。

結局、相手のセンターバックはサイドバックと共に振り回されてしまいましたね。

これらの3つのパターンで共通するのは、やはりセンターバックをターゲットにしている点です

この場合、相手が4バックであれば左右のCBのどちらかを狙い、3バック(例えばジュニアの8人制)であれば中央の選手を狙えばスペースが出来るので、必ずと言ってよいほどシュートチャンスが生まれます。

つまりセンターバックは孤立しては意味がなくなるわけであり、2人揃って初めて意味があるのです。

その証拠に3バック(この場合は最初からCBは1人)の守備システムを取っていても、ゴール前では必ず4バックや5バックに変化してセンターバックを孤立させないようにするでしょ?

そうした意味で攻撃側は、いかにセンターバックを孤立させる…、つまりターゲットにするのかが重要なのです。

(2)斜めに走る場合の注意点

一部のネット情報では、ダイアゴナルランは全力で走り切るのが良いという意見がありますが、これはそうとも言えません。

この場合、センターバックを釣り出したり釘付けにするためには全力で走り切るのではなく、むしろ適度にスピードを調節しつつ相手の顔を見ながら自分の方に注意を引きつけるようにした方が良いです。

それに、いくら斜めに走ってもセンターバックが反応しなかったら(つまり釣り出されなかったら)何の意味もありませんからね。

またダイアゴナルランにはSHの選手が相手のサイドバックの背後を取るような斜めの動きも含まれている…とされていますが、これは本来の意味と少し違います。

そもそもSHの選手がゴール前のプレーに関わる時は、サイドラインからサイドバックの背後に対して斜めに走り抜ける(つまり外⇒中に走る)ような動きになることが多いです。

その際、ダイアゴナルランは味方のためにマークを外してスペースを作るという前提がありましたよね。

そうすると、そうした動きがないプレーは必ずしもダイアゴナルランとは言えません(つまり単に斜めに走っただけ)。

もちろんサイドバックが反応すれば多少の効果はあるでしょうが、最終的にセンターバックをターゲットにするという攻撃戦術とは次元が違うのです。

※ただしサイドバックとセンターバックが同時に釣り出されれば状況は変わります(もう一方のセンターバックが孤立する)が、こうした守備はよほど弱小チームでない限り起こり難いでしょう。

さて次は練習法について解説します。

【練習法】

※注意点

ダイアゴナルランを覚えるうえで最適な練習法は、3対2、3対3、4対4のゲームになりますが、これは3人目の動きの場合と同じです。

そこで、それぞれのミニゲームを練習する過程で、ぜひダイアゴナルラン+3人目の動きを合わせて覚えましょう。

なお先ほどのプロの例を見れば分かりますが、出来るだけ手数を掛けずに速く攻撃するようにしてください。

その理由は日本代表のように、もたもたとゴール前で横パスやバックパスをしていたら、いつまで経ってもディフェンスラインを崩せないからです。

ザックジャパンの頃の日本代表の試合を見れば分かりますよね。

理想としては一回の攻撃で、2~3分でシュートまで持ち込むと良いと思います。

ちなみに攻撃の速さと状況判断のスピードは比例するので、選手たちの頭をフル回転させましょう。

(1)3対2

この場合は1人がフリーになるので、その選手にダイアゴナルランの基本を理解させましょう。

またゲームボードなどを使ってイメージを持たせることで、小学校低学年でも理解出来るようになると思います。

(2)3対3

この場合、センターバック(3人のうちの中央にいる選手)をターゲットにする動きを覚えさせましょう。

その際、一人が斜めに動きながらセンターバックを釣り出したり釘付けにしてスペースを作り出すようにしてください。

もちろんサイドバックを釣り出すことでセンターバックを孤立させるのも効果的です。

またこの時CBとSBの二人を一気に釣り出せれば、残った1人の守備者をターゲットにして2対1が作れるので最適ですね。

もちろん斜めに走るスピードを調節しながら上手く守備者を釣り出す点にも注意しましょう。

これに慣れて来たら、ワンタッチ、ツータッチ、スリータッチなどのタッチ制限をしても良いと思います。

そうすることで相手のプレスを受けやすくなることから状況判断のスピードアップに繋がりますし、さらに攻撃も速くなります。

ちなみこうしたタッチ数の制限はブラジルでもよく練習していましたよ。

(3)4対4

この場合は3対3と比べて難易度が高そうに思えますが、そうでもありません。

基本的にはパスの出し手(1人目)と受け手(2人目)以外の2人が、両方ともダイアゴナルランが出来るということです。もちろんパスの受け手が斜めに動いても良いでしょう。

その際、先ほどのプロの動画の三つ目のシーンみたいにクロスオーバーのように動くと相手は必ず混乱するので、こうした複雑な戦術も覚えましょう。

つまり、2人で相手を釣り出したり釘づけにして相手を揺さぶる…ということですね。

もちろん1人がダイアゴナルランで相手を釣り出したり釘付けにすれば、もう一人は3人目の動きとして攻撃参加しても良いでしょう。

そうした多様な状況判断も覚えてください。

(4)守備側の対応

守備側の対応で最も大切なのは、ダイアゴナルランに惑わされないことです。

基本はマークの受け渡しをきちんとしつつ、1人に対して2人が釣り出されないようにすることも大切です。

これは攻撃で覚えたことを守備に活かすという考え方ですね。

こうした発想を選手たちに植え付けることで、守備の状況判断の適格さとスピードが備わります。

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【まとめ】

これまでダイアゴナルランとは何か?基本の動き、プロの例、練習法などを解説しました。

この動きの特徴としては、パスの受け手がボールを見やすい、守備側はボールウォッチャーになりやすい、オフサイドになり難いという3つの点がありましたよね。

その際、ダイアゴナルランはディフェンダーに対してマークの受け渡しという難しい状況(一種の混乱)を引き起こしてスペースを作るうえで、とても効果的です。

特に大切なのが相手のセンターバックをターゲットにして、いかに釣り出したり釘付けにするのかという点です。

さらに日本代表のようにもたもたとゴール前で横パスやバックパスをするのではなく、速い攻撃を目指しましょう(サッカーの世界な潮流はフットサル並みの攻撃の速さにあります)。

こうしたダイアゴナルランは「3人目の動き」と共にオフザボールの基本なので、状況判断を身に付けるうえでとても大切です。

ぜひ多くの子供たちがダイアゴナルランを覚えてサッカーが上手くなるのを願っています。

【画像引用:Youtube.com

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