ちょんちょんリフティングは、体幹と軸足を強化するためのトレーニングです。
この場合、海外サッカーのトップ選手たちは利き足をメインに使いますが、そのレベルは極めて高いですね。
そうした選手たちに共通するのは、体幹と軸足(逆足)の強さです。
ところが日本では体幹を鍛えることはあっても、軸足を強化する選手はほとんどいません。
だからこそ小中学生の育成年代の子供たちは、ちょんちょんリフティングによって体幹と軸足の強化が必要なのです。
そこで、今回はちょんちょんリフティングの必要性と効果について詳しく解説します。
スポンサーリンク
1.ちょんちょんリフティングとは
(1)ちょんちょんリフティングの必要性と効果
ちょんちょんリフティングは、親指と人差し指の付け根付近を使ってリフティングするだけです。
この場合、軸足のふくらはぎ~太ももの筋肉は、お尻、背筋、腹筋などの体幹部の筋肉群と連動しています。
そうすると、ちょんちょんリフティングによって軸足が強くなると、自然と体幹も強化されて安定するのです。
これに対して、サッカーは、キック、ドリブル、トラップとも片足立ちでプレーしますよね。
その場合、例えばキックをする時は全身に強い遠心力がかかるため、体幹と軸足を強化して克服しないと体がグラグラして正確なボールコントロールが出来ません。
キックは軸足を鍛えて上手くなる!トレーニング法も解説
またドリブルでボールタッチする時も片足立ちですし、相手との激しいボディーコンタクトに耐えられるための体幹の筋力補強も必要です。
だからこそ、育成年代にとっては、ちょんちょんリフティングのトレーニングが必要なのです。
(2)ちょんちょんリフティングと効き足、軸足の関係
日本のサッカー指導では、一部のサッカースクールやクラブチームを除き、ちょんちょんリフティングの練習はほとんどありません。
そればかりではなく、幼少期から両足練習を続けるため、そのまま成長すると体幹と軸足が強くならないのです。
例えば、同じ1時間の練習で、利き足だけを使った場合と両足を交互に使った場合の効果を比べてみましょう。
利き足を1時間練習すると、軸足も同じだけ鍛えたことになります。
ところが、両足を交互に練習する場合は左右の足を30分ずつ鍛えています。
そうすると、軸足は30分しか鍛えていないということになりますよね。
だから、両足練習というのは軸足も半分の時間しかトレーニングしていないというわけです。
やはり日本の多くのサッカー指導者には、軸足を鍛えるという発想がないのでしょう。
そもそもヒトの日常生活を考えた場合、左右の足はサッカーをするしないに関わらず、片方が効き足で、もう一方が軸足の役割をします。
また立っている時は、無意識のうちに体重のほとんどを軸足で支えているのです。
その場合、利き足の役割は正確で素早い動作をする時に使われ、軸足は全身を支えることが主な役割です。
こうしたことは、日常生活における利き手と逆手の関係を考えれば分かることです。
例えばノートに文字を書く時は利き手でペンを持ちますが、これは正確性を必要とする動作ですよね。
これに対して、逆手はノートを押さえる役割がありますが、これは動かないように支えるという意味で軸足と同じ動作をします。
つまり利き足と軸足の関係は、利き手と逆手の考え方と全く同じ意味を持つわけですね。
これに対してサッカーは片足立ちでボールプレーをしますし、激しい動きの中で体幹と軸足で体を支える必要がありますよね。
そうした意味でも、ちょんちょんリフティングのトレーニングは絶対に必要なのです。
体が開くとは?サッカー指導者が気付かない両足練習の弊害
サッカーの利き足と逆足は役割が違う!海外と日本の比較
さて次は、ちょんちょんリフティングの練習方法と注意点を解説します。
2.ちょんちょんリフティングの練習方法
(1)軸足を動かす方法(ケンケン)
ちょんちょんリフティングで体幹と軸足を鍛える場合は、軽くジャンプ(ケンケンのように)しながらやると効果的です。
でも慣れないと軸足への負担がかなり大きいので、最初のうちはその場に止まったままでも良いでしょう。
ただし1000回程度続けられるようになったら、ケンケンのちょんちょんリフティングにチャレンジしてください。
これにも慣れて来たら、前後左右に動きながら軸足を鍛えましょう。
(2)テニスボールやスーパーボールを使う
ちょんちょんリフティングでテニスボールやスーパーボールを使う目的は、お手玉のように手でボールを扱う感覚を身に付けるためです。
また、大きなボールよりも小さい方を扱った方が繊細な感覚が身に付きますし、ボールコントロールのセンスも高くなります。
そうした場合、利き足の感覚に集中するため、あえて軸足を動かさない(ケンケンしない)で練習するのも効果的です。
もちろん、テニスボールやスーパーボールに慣れたら、けんけんのちょんちょんリフティングにもチャレンジしてください。
いずれの場合も、いつでも最低1000回連続で出来ることが望ましいですね。
3.ちょんちょんリフティングの注意点
(1)体の後ろ側の筋肉を意識する
ちょんちょんリフティングの練習を続けると、太もも、ふくらはぎ、すね、背中、股関節など、いろいろなところが筋肉痛になると思います。
もしも、痛みが続いて辛いようだったら、無理をする必要はないので適宜休んでください。
でも、体の前側の筋肉(太ももの前側、すね、股関節の前側など)が痛い場合は注意が必要です。
なぜなら、これらの筋肉は走る時に身体にブレーキをかけてしまうからです。
この場合、出来るだけ体の後ろ側の筋肉(背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎなど)を意識して、ちょんちょんリフティングをしてください。
その理由は走るために使う筋肉だからです。
これは、陸上競技の黒人アスリートの体型を見ると分かると思いますが、体の後ろ側の筋肉がよく発達していますよね。
そこで、ちょんちょんリフティングをする時は、前傾姿勢になって足の指をグリップし、軽くヒザを曲げてください。
そして、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎの四つの筋肉と背骨を使って上体を支えるように意識してください。
単に意識するだけで結構です。
※少年団やクラブチームでよくありがちな、つま先立ちやカカト上げにならないように気を付けてください。
(2)筋肉は意識するだけで鍛えられる
先ほど、ちょんちょんリフティングをする時は、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎの四つの筋肉を意識する…と解説しましたが、これは意識するだけで鍛えられるという意味です。
この場合、2016年に発表されたデンマーク国立労働環境研究センターとオールボー大学などの研究チームの「プログレッシブレジスタンストレーニング中の意識と筋肉のつながりの重要性」という研究結果によれば、筋トレの際に筋肉の部位を意識すると高い効果が得られたそうです。
また2018年に発表されたアメリカ・ノースウェスタン大学とアリゾナ州立大学などの研究チームの「長期レジスタンストレーニング中の意識集中による異なる効果」という研究結果によっても、同じような効果が得られています。
これは現在の筋トレの理論で一般化した、いわゆるマインドマッスルコネクション(MMC)と同じ意味にもなります。
私の息子「とも」の場合、小学三年生の頃に、たびたび私が「背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを意識して…」などと声掛けをしていました。
その結果、今でも、ちょんちょんリフティングを練習すると、ハムストリングス、ふくらはぎ、お尻、背筋の順に痛くなりますが、筋肉痛になる分だけ効果的だということですね。
この場合、ちょんちょんリフティングは体幹と軸足を鍛える目的がありますが、どうせならサッカーのプレーに適した先ほどの四つの筋肉もトレーニングした方が効果的です。
そうした点では単に意識するだけで十分なので、お父さんやお母さんが声掛けするなど、ぜひ実践してみてください。
スポンサーリンク
4.まとめ
これまで、ちょんちょんリフティングの必要性と効果について解説しました。
海外と日本の選手を比べると、テクニック、スピード、パワーのいずれにおいても大きな差がありますが、その違いの原因は体幹と軸足の強さも関係しています。
これに対して、日本では一部のサッカースクールやクラブチームを除き、ちょんちょんリフティングのような練習はほとんどありません。
そうした場合は、自主練などで鍛えるしかないのです。
ぜひ数多くの子供たちが、ちょんちょんリフティングのトレーニングを通じて体幹と軸足を強化し、海外で活躍できる選手になってほしいと願っています。