海外のサッカー選手たちの技術の基本は利き足にありますが、たまには逆足も使います。
だから両足を練習して自由自在に使えるようにしないといけない…、というわけではありません。
そもそも利き足と逆足はそれぞれに役割があり、メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、ネイマールも、試合の局面に応じて使い分けています。
そこで今回は利き足と逆足の役割について、海外と日本のサッカーの違いを詳しく解説します。
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1.海外の選手たちの利き足の使い方
海外のトップ選手たちの利き足のレベルは、日本人の選手に比べてとても高いです。
その場合、利き足をメインに使い、逆足をサブとして使いますが、特に相手に囲まれてボールを奪われそうな厳しい局面ほど利き足を使います。
なぜなら彼らにとって、利き足に絶対的な自信があるからです。
これに対して逆足はレベルが低いので、利き足と同じような使い方ではなくどちらかと言えばサブとしての役割があります。
こうした場合、大きく分けて二つの点に着目することが大切です。
(1)ドリブル、トラップ
常に利き足でボールを持とうとするため、逆足でタッチをした場合でも、すぐに利き足に戻します。
つまり、常に利き足を優先するということですね。
(2)キック
逆足で蹴る直前のタッチは、ほとんどが利き足です。
なぜなら、レベルの低い逆足でも蹴りやすい位置に正確にボールを置くためです。
またキックでもドリブルでも、特に大切なのは利き足の方が正確にコントロール出来るという点です。
その場合、メッシやクリロナが逆足を使ったから、両足を使えるようにしないとダメ…という、結果論的な見方をするべきではありません。
むしろ蹴る直前の利き足の使い方の方が大切なのです。
次の動画でも、メッシが逆足(右足)でシュートを打つ直前のタッチは、利き足(左足)を使っています。
つまり逆足を使う時でも、その前のボールコントロールは利き足を使うべきなのです。
近年、海外のプロの試合を放映する機会が増えたので、Youtubeなどの動画サイトでもダイジェスト版を見ることが出来ますよね。
ここでの選手たちのプレーは、ほとんどが利き足を使っているという事実に気が付きませんか?
もちろん例外はあるでしょうが、利き足がメインで逆足がサブという考え方は世界標準です。
こうした傾向は、2018年のロシアワールドカップで日本代表と対戦した国の選手たちにも共通しています。
そこで次に、ロシアワールドカップの選手たちの利き足の使い方について解説します。
2.ロシアWカップの選手たちの利き足
ここでは日本代表とグループリーグで対戦したコロンビア、セネガル、ポーランドのエース級の選手たちの利き足の使い方を考えてみましょう。
(1)コロンビア
コロンビアは、2014年のブラジルワールドカップでも対戦したのでおなじみですね。
特に注目していただきたい選手はMFのハメス・ロドリゲスです。
ハメス・ロドリゲスは利き足の左をメインに使います。
ハメスは、2~3人の相手に囲まれてボールが奪われそうな時も利き足の左で何とかしようとします。
やはり利き足のボールコントロールには絶対的な自信があるのでしょう。
(2)セネガル
日本ではあまり馴染みのない国ですが、アフリカ予選では3次予選グループDを首位通過した強豪国です。
特に注目していただきたい選手はFWのサディオ・マネです。
2019年現在はイングランドのリバプールFCのスリートップの一角として活躍しています。
マネは利き足の右をメインに使います。
またアフリカの選手なので身体能力の高さが目立ちますが、ボールコントロールの精度は抜群です。
特にアウトサイドで利き足側に抜くプレーは、ぜひ日本の子供たちにも見習ってほしいですね。
(3)ポーランド
最も注目するべき選手はFWのロベルト・レヴァンドフスキです。
日本代表の香川が所属した、ドルトムントでもプレーしているのでおなじみですね。
レヴァンドフスキは、ヨーロッパ予選の得点王で典型的なストライカーです。
チームではフリーキックも蹴るので、利き足の右の精度は極めて高いですね。
彼は利き足をメインに使って極限までレベルを引き上げたからこそ、抜群の技術が身に付いたのでしょう。
以上のように、いずれのプレーヤーも利き足を自由自在に使いこなしています。
またトラップ、キック、ドリブルとも、日本代表の選手たちのレベルとは比べ物にはなりません。
テレビなどで彼らの試合を見る時は、ぜひ利き足の使い方にも注目してください。
ところで、日本の育成年代の指導には利き足がメインで逆足がサブという考えはあまり見られません。
実は、こうした点は大きな問題を生んでいます。
3.日本サッカーの利き足に対する現状
日本の育成年代では、海外の選手のように利き足がメインで逆足がサブという考えはありません。
だから、子供たちには利き足を使って何とかしようという考えは身に付かないのです。
むしろ両足を自在に使えなくてはならない…、そんな指導が普及しています。
その結果、育成年代の子供たちにはどのような事態が起きていると思いますか?
利き足のレベルが低く、体が開き、軸の弱い選手が多くなっているのです。
その一方で、日本では逆足を使う場合の別の見方として結果論的で狭い視野を持った考えも広まっています。
例えばメッシは右足を使うこともある…、だから逆足も使えなくてはならないという発想です。
実はこれが、そもそもの間違いなのです。
最も大切なことは逆足を使う前のプレーにヒントが隠されているのです。
先ほども触れましたが、メッシが逆足を使う前にどのようにして利き足でボールをコントロールしたのか?という過程に着目するべきです。
例えば逆足で蹴る場合は、キックしやすい安全な位置に利き足を使ってボールを運んでいるわけですね。
つまり「メッシは右足を使うこともある…」という結果論的な考え方に固執する限り、いつまで経っても日本の育成年代は進歩しないのです。
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4.まとめ
日本サッカーの育成指導は幼少期からの両足練習の結果、軸が弱い、体が開く、利き足のレベルが低いという選手を大量生産しています。
そのため海外で大活躍するような選手は未だに少ないです。
そうした意味では、そろそろ間違いに気付いて利き足がメインで逆足がサブという考え方に改めるべきでしょう。
日本はサッカー後進国ですが、これまでワールドカップに6回も出場しています。
それならば、いい加減に利き足と逆足の役割も理解して良いはずです。
そうして育成された子供たちが成長することで、はじめてサッカー先進国の道を歩むのではないでしょうか?