【練習法】
ここではドリブル姿勢の改善に必要な骨盤前傾、前傾姿勢、ドリブルの使い分けの3つのトレーニングをご紹介します。
(1)骨盤前傾トレーニング
この練習は骨盤前傾に改善するためのトレーニングですが、骨盤後傾で姿勢の悪い人にも効果的です。
練習の要領としては、
① カカトを浮かして、つま先立ち。
② 背筋を伸ばして胸を張り、お尻を突き出す。
③ 一日あたり30秒~1分くらい。
※必要以上に練習すると、かえって背骨の発達に影響を及ぼします。
この点は注意してください。
(2)前傾姿勢トレーニング
この練習は前傾姿勢を維持するために、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを使って上体を支える感覚を身に付けるものです。
ドリブルを練習する時は、常にこの姿勢を意識しまょう。
特に何分続けるとかの決まりは一切ありません。
大切なのは前傾姿勢を意識することだけです。
① 軽くヒザを曲げて腰を落とす。
② 足の指を使ってグリップする(つま先立ちはしないこと)。
③ 背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを意識する(身体の後ろ側に気持ちを向けるだけで良い)。
※最初のうちは背骨と4つの筋肉にハリが出やすいので、その際は適宜休むようにしてください。
この場合、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎに意識を集中させることで、それぞれの部位の筋トレ効果も高くなります(姿勢の悪い子に「背筋を伸ばしなさい!」というのと同じ)。
ちなみに、2016年に発表されたデンマーク国立労働環境研究センターとオールボー大学などの研究チームの「プログレッシブレジスタンストレーニング中の意識と筋肉のつながりの重要性」という研究結果によれば、筋トレの際に筋肉の部位を意識すると高い効果が得られるそうです。
また2018年に発表されたアメリカ・ノースウェスタン大学とアリゾナ州立大学などの研究チームの「長期レジスタンストレーニング中の意識集中による異なる効果」という研究結果によっても、同じような効果が得られたそうです。
これは現在の筋トレの理論で一般化した、いわゆるマインドマッスルコネクション(MMC)と同じ意味になります。
そうした意味では検証結果も得られているので、練習に当たってはぜひそれぞれの部位に意識を集中させましょう。
(3)ドリブル使い分けトレーニング
この練習の目的は運ぶドリブルと突破のドリブルを交互に使い分けることです。
コーディネーショントレーニングの一種とお考えください。
① 一セット1分間で、インターバルは3分以上(心拍数を目安に、常にリフレッシュした状態で練習する)。
② 10秒間隔で運ぶドリブルと突破のドリブルを切り替える。タッチは自由。
③ 運ぶドリブルの時は、直立姿勢でボールから目を離す。スローダウンして周りを見る。
④ 突破のドリブルの時は、前傾姿勢で相手を抜くイメージでスピードアップ。関節視野でボールを見る。
※試合中のドリブルは長くても10秒程度です。
試合を想定した練習を心がけましょう。
【まとめ】
ドリブル姿勢は運ぶドリブルと突破のドリブルの使い分けが必要です。
また運ぶドリブルは直立姿勢で良いのですが、突破のドリブルは前傾姿勢の方が良いのです。
さらに骨盤前傾の姿勢はドリブル姿勢の使い分けが容易という点で、とても効果的です。
そうした中で日本のサッカー指導はドリブル姿勢は常に直立姿勢が良い…などという勘違いが多いことから、本格的なドリブラーが育たない理由が明らかだと思います。
でもこれからの育成方針を変えれば、日本は必ずサッカー強豪国になれるはずです。
こうした点は、ぜひ多くの方に賛同いただきたいと願っています。