ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーの走り方!速さと持久力が両立する走法とは?

サッカーはピッチ走法が主流ですが、この走り方は体の負担が大きいためスタミナ切れを起こすという問題があります。

そのため試合後半に足が止まる…という事態がよく起こります。

その一方で速さと持久力が両立できるということで、最近はナンバ走法が注目されています。

そこで今回はサッカーにとって、どのような走り方が最適なのか?を解説します。

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1.サッカーの走り方

(1)ピッチ走法の走り方

サッカーの試合では10m程度の短距離ダッシュを繰り返すので、ピッチ走法が常識とされています。

特にスタート直後からトップスピードになるためには、最適な走り方と考えられているのでしょう。

でも、この走り方は試合の後半でスタミナ切れを起こして足が止まる…という状態が起きやすいです。

たぶん、こうした状況は誰でも経験したことがあると思います。

たしかに体に最も負担のかかる加速を繰り返すわけですから、仕方がないのでしょう。

こうした動作を自動車の運転に例えれば、急発進、急加速を繰り返してガソリンを浪費するようなものですね。

そうであったとしても相手チームの選手に走り負けないためには、たくさん走り込みをするべきだ!と考える指導者が多いようです。

でも、果たしてそんなに辛い練習が必要なのでしょうか?

(2)ナンバ走法の可能性

私が思うに、ピッチ走法自体に問題はないと考えています。

なぜなら、サッカーの試合で走る時は急加速によって瞬時にトップスピードになるのが絶対に必要だからです。

この場合、むしろ選手の走り方を改善するべきではないでしょうか?

つまりスタミナ切れを起こし難い走り方を身に付けたうえで、ピッチ走方をするのであればスタミナ切れの問題は解決出来るはずです。

そしてその解決のヒントになるのが、近年、注目されている「ナンバ走法」ではないかと考えています。

2.ナンバ走法の走り方

ナンバ走法は疲れ難く最後までスピードが落ちないということで、近年は数多くのアスリートが採用しています。

陸上界では末續慎吾選手や高橋尚子選手が取り入れたことでも有名です。

その特徴はやはり疲れ難くく速く走れるということです。

(1)桐朋高校バスケットボール部

東京都の桐朋高校バスケットボール部も、このナンバ走法を採用しています。

進学校でありながらも、インターハイ出場を果たしたことで話題になりました。

その後、新潟県をはじめ他の高校でもナンバ走法が広まっています。

その際、バスケットボールは試合中にコートを何度も往復するので、短い距離の加速が必要という点ではサッカーと似たような競技です。

だから昔からピッチ走法が使われていたのでしょう。

ところが、この走り方では疲労とスタミナ切れという問題が常に起こります。

そうした問題を解決するために、桐朋高校はナンバ走法を取り入れたのです。

(2)ナンバ走法の効果

ナンバ走法の特徴は、全身をリラックスすることで体が疲れず、最大限のパフォーマンスを出し続けながら走り切ってしまうというものです。

自然身体構造研究所の所長で身体構造の専門家であるタイツ先生こと吉澤雅之さんは、次の動画でナンバ走法の効果を解説しています。

タイツ先生によれば、リラックスして走る効果を3つあげています。

①全身のバネ作用による弾力性によって、地面反力が使えるようになる。

②腕や脚の重さを運動保存の法則として、前方向への推進力に変えてしまう。

③腸腰筋が使えるようになるので、フラット接地が出来る。

タイツ先生は、「笑ったままで走り切りたい…。」「リラックスして走り切りたい…。」とも説明しています。

これはナンバ走法で走ると、体力は消耗しない、疲れない、でもスピードが出てしまう…という意味です。

また、一本歯下駄トレーニングをすることで、ナンバ走法の走り方が自然と身に付くことも解説しています。

それでは、一本歯下駄トレーニングは、ナンバ走法に対してどのような関係があるのか?

そうした点について、次に私の息子の実例を紹介しながら詳しく解説します。

3.ナンバ走法と一本歯下駄トレーニングの関係

(1)小学2年生の頃

息子は小学2年生の頃から、一本歯下駄トレーニングを始めました。

このトレーニングを続けた結果、先ほどの動画でタイツ先生が解説したとおりいつの間にかナンバ走法の走り方が身に付いています。

※一本歯下駄トレーニングの解説や詳しい練習メニューなどは次の記事を参考にしてください。
一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!
一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選

(2)小学3年生の頃

次の動画は息子が小学3年生の運動会のリレーの様子です。

この頃は一本歯下駄トレーニングを始めてから半年以上経っています。

息子の前を走る子供たちの走り方と比べると、頭の上下動や上体のブレがなくムダな動きがありません。

またバトンを軽く握っている様子を見ると、リラックした腕振りになっているのが分かります。

だから体力の消耗は少なく、とても疲れにくい走り方をしていると言えるでしょう。

※息子の足を速くするために取り組んだ練習法は、次の記事をごらんください。
足が速くなる練習方法!小学二年生が三ヶ月で学年トップ?

(3)小学5年生の頃

次の動画は息子が小学5年生の運動会のリレーの様子です。

ここでも、同じようにリラックスした走り方をしてます。

動画の中で白ゼッケンの14番が息子ですが、後ろから追いかけてくる赤ゼッケンの18番の生徒の動きと比べてみてください。

その特徴は3つあります。

・頭の上下動がない。
・上半身は前を向いたまま。
・体を過度にひねるようなムダな動作がない。

やはりムダな動きが一切ないので、体力の消耗が少ない走り方なのです。

これは一本歯下駄トレーニングによって、全身の骨格と筋肉が連動するようになったことと深く関係します。

その際、全身の骨格と筋肉が連動とは、例えば身体の一部分がムダな動きをしようとすると他の骨格と筋肉が連動してムダな動きを吸収してしまう…と考えれば良いでしょう。

その一方で全身のバネ作用が身に付いたことから、地面反力も使えるようになりました。

ただし地面反力とは言っても従来のように筋肉を使って地面を蹴るというのではなく、まるでゴムボールのように弾みながら進んでいくという走り方です。

先ほどのタイツ先生の動画の中で解説していた「リラックスして走り切りたい…。」とは、こうした状態ではないかと思います。

ところで先ほどのタイツ先生の動画の中では、

①ナンバ走法は腕と足の同調が起きる…。
②腸腰筋を使ってフラット接地が出来る…。

と解説していました。

そこで次に、この2つの点について詳しく解説します。

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4.ナンバの動きとフラット接地

ナンバ走法は、右手と右足、左手と左足が一緒に動くと思われていますが、実際にはそうした走り方をしません。

タイツ先生によれば、右手と右足、左手と左足が一瞬だけ同調する瞬間があるということです。

これと同じ現象は、息子の走り方の中にも見られます。

(1)ナンバの動き

シーン.1では左手の腕振りがピークになっています。

シーン.2では腕振りが終わった後も肩を前に突き出し、さらにその後もこの動作が続きます。

この時は蹴り足(左足)を後ろに伸ばし切ったピークの状態なので、ここから足を前に出す動きが始まろうとしています。

シーン.3では肩を前に突き出す動きがピークの状態になりましたが、同時に腰と蹴り足が前に戻り始めました。

ここで分かることは、シーン.2からシーン.3の間に、左肩を前に突き出す動きと、左足を前に出す動きが同時に起きたということです。

まさに左手(左肩)と左足が同調した瞬間…という捉え方が出来ます。

これは何を意味するのかと言うと、筋肉のパワーに頼った走り方ではないということです。

ふつうの走り方は蹴り足を前に出す時に大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を使いますが、筋肉のパワーを使った走り方なのでエネルギーを消耗して疲労の原因になります。

ところがナンバ走法では手と足が同調(一瞬だけ)するので、筋肉のパワーに頼らなくても地面を蹴った後の足が自然に前に出てしまうのです。

もっと分かりやすく言うと、手を前に出す動きに連れて足も勝手に前に動いてしまう…というわけですね。

こうした動作も疲れにくい秘密なのでしょう。

いわば省エネ型の走り方とも言えます。

(2)フラット接地と腸腰筋の関係

フラット接地とは腸腰筋を利用した走り方です。

腸腰筋とは骨盤の左右にある二本のインナーマッスルのことで、腰椎(みぞおち辺り)から股関節に連なる筋肉群のことを言います。

この筋肉は、ゴムのように反射的に伸び縮みさせることが出来ます。

つまり走る時は腸腰筋をゴムのように伸ばしてから縮めるまでの反射作用を利用して足を前に出すわけです。

息子が走る場合、左足が地面を蹴り終えた時点で腸腰筋が伸びているのが分かります。

また地面を蹴った後の左足を前に出す動作は、大腿四頭筋を利用するのではなく伸ばした腸腰筋が反射的に縮む動きを利用しているのです。

実際には大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)も伸びているので、当然この筋肉も反射的に縮みます。

つまり、腸腰筋+大腿四頭筋が伸張反射が起こしているわけですね。

そうすることで、下半身の体力の消耗が少なくなるのです。

これは、足に力を入れて「グイグイ!」と前に進む従来型の走り方ではなく、筋肉のゴムのような伸び縮みを利用して自然に足が前に出てしまう…。

そうした身体に負担の少ない省エネタイプの走り方になっているわけですね。

※腸腰筋の強化法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
腸腰筋トレーニングでサッカーがレベルアップ!基本メニュー3選

5.まとめ

サッカー選手にとっての正しい走り方を考えた場合、ピッチ走法自体に問題はありませんが、スタミナ切れを起こしやすいという点で、走る際の体の使い方に問題があるのです。

こうした場合、ナンバ走法は体力の消耗が少ないのでとても効果的です。

この走り方を身に付ければ、試合の後半になってもスタミナ切れを起こすことはほとんどなくなるはずです。

そうした意味で大切なことは次の2つです。

(1)ナンバ走法を習得する。
(2)そのうえでピッチ走法を使う。

つまり両方の走り方を融合させるべきなのです。

ぜひ日本のサッカー界に普及してほしいと願っています。

【画像引用:Youtube.com