海外の一流サッカー選手は腸腰筋を足の筋肉と連動させることで、まるで足が長くなったような使い方が出来ます。
これは股下が90㎝の人に20㎝の腸腰筋を足したのと同じで、股関節が「みぞおち」辺りに移動して足のリーチが長くなるようなものですね。
そうすると、走る、飛ぶ、跳ねるという点で爆発的なパワーとスピードを発揮することが出来ます。
まるでウソのように思えますが、実は科学的に考えれば正しい理論なのです。
そこで、今回は腸腰筋の仕組みとサッカーのプレーを改善するための基本練習メニューについて詳しく解説します。
※この記事は3ページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
1ページ目(このページに書いてあります)
【腸腰筋と足の筋肉の連動の仕組み】
2ページ目(←クリック!)
【腸腰筋とサッカーの動作】
3ページ目(←クリック!)
【腸腰筋の筋トレメニュー】
【まとめ】
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【腸腰筋と足の筋肉の連動の仕組み】
(1)腸腰筋とは?
腸腰筋は骨盤の左右にある二つの筋肉のことで、小腰筋、大腰筋、腸骨筋がまとまって、みぞおち辺りから股関節まで繋がっています。
また、股関節から下に大腿四頭筋(太ももの前)がありますが、特にサッカー選手にとっては、腸腰筋と大腿四頭筋の連動が大切です。
(2)腸腰筋を足の一部として使う
次の動画の1:04からの解説で、タイツ先生は、元ブラジル代表のロビーニョを例に「胸から下を、足のように動かすことが出来る…」と解説しています。
ここでの「胸から下…」というのは、腸腰筋の付け根(みぞおち辺り)のことですね。
冒頭で私が解説した「海外の一流サッカー選手は腸腰筋を足の筋肉と連動させる…」という意味は、正にこのようなことなのです。
特にロビーニョがシザースでまたぐ時は、まるで足が長くなったような錯覚をします。
こうした身体の使い方は、股関節をストレッチして可動域を広げた程度では無理でしょう。
なぜならストレッチは単なる柔軟体操であって、筋肉の連動性とはあまり関係ないからです。
そうした意味では、一流選手の腸腰筋の使い方を正しく理解するのが大切です。
(3)腸腰筋と足の筋肉の伸張反射
腸腰筋と足の筋肉を連動させるためには、筋肉の伸張反射も重要です。
筋肉の伸張反射とは、急激に伸ばした筋肉が元に戻ろうとして収縮する反射運動です。
つまり、急激に伸ばした筋肉が反射的に縮むスピードを利用して、体を速く動かす…ということですね。
この運動は反射神経を使うので、例えば熱いものを触った時にすぐに手を離す…という動作と同じです。
そうすると、通常の神経回路のように脳に伝わってから往復…という過程が省略されるので、とても速い反射作用が起こるわけですね。
このように、筋肉の伸張反射と、腸腰筋・足の筋肉の連動によって、プレーのパフォーマンスがとても高くなるのです。
(4)骨盤のバネ作用と恥骨結合
腸腰筋と足の筋肉を連動させるためには、骨盤のバネ作用も覚えてください。
特に覚えていただきたいのが、骨盤の最下部にある「恥骨結合」と呼ばれる部分です。
恥骨結合は軟骨状の柔らかい組織なので、この部分を利用すると、ほんの少しですが左右の骨盤を前後に動かすことが出来ます。
サッカーの場合、キック、ドリブル、走るなどの動作で左右の足を前後に動かしますが、例えば、左利きの私の息子「とも」のキックのバックスイングを見ると、
① 右の骨盤を前に出す。
② 左の骨盤を後ろに引く。
その際、恥骨結合の可動域を意識すると骨盤を大きく速く動かすことが出来るのです。
こうした骨盤の動きは、板バネの復元力の働きと同じです。
特に、左の蹴り足の動きに着目すると、バックスイングで後ろに引いた左側の骨盤に、恥骨結合の復元力が働いて元の位置に戻ろうするわけですね。
こうしたバネ作用を利用すると、筋肉に頼った蹴り方よりも、はるかに大きなパワーとスピードが得られます。
※実際に、骨盤がこのように曲がることはありませんが、あくまでもイメージとしてお考えください。
要するに、左右の骨盤を前後に動かすと、バネ作用が働いて元に戻るというわけですね。
また、恥骨結合の柔軟性を高めることで、バネ作用の復元力もアップすることから、日ごろからのストレッチによって、股関節の可動域を広げることも大切です。
なお、ストレッチをする時は、恥骨結合と合わせて、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋(スネ)などの周辺の筋肉も合わせて伸ばすと効果的ですね。
腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋、大胸筋、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋
以上のように、腸腰筋と足の筋肉の連動、筋肉の伸張反射、骨盤のバネ作用(恥骨結合の利用)などの仕組みを説明しました。
そこで、次に、これらの仕組みがサッカーのプレーにどのように活かされるのか?腸腰筋の基本トレーニングメニューを順に解説します。
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