ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーのキックの助走は何歩で?正しい蹴り方を解説!

あなたのキックは、何歩の助走で蹴っていますか?

ロングキックなら2~3歩、短い距離なら1~2歩の助走で十分でしょう。

でも、キックを遠くに強く蹴りたい…、だから助走を長くすれば良いのでは?と考える子は多いかも知れません。

実はそうではなく、助走の長さは、キックの飛距離や強さとはほとんど関係ありません。

そこで今回はキックの正しい助走について、初心者でも分かりやすく解説します。

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1.助走を長くするのは間違い

(1)助走の長いキックの例

次の動画は小学生の親子でしょうか?

助走をたくさん取ったシュート練習をしています。

ふつうなら2~3歩で良いのですが、助走が長すぎるのでかえってタイミングが合いません。

また、その他にもいろいろと改善すべき点があります。

それは、

・同じ歩幅(同じリズム)で蹴っている。
・バックスイングが小さい。

正しいキックの助走は、インパクト直前の最後の一歩を大きくすることです。

また、開始(軸足)、一歩目(蹴り足)、二歩目(軸足)という助走であれば、一歩目から二歩目が最後の一歩になります。

(最後の一歩=バックスイングとお考えください)

そして、このバックスイングを大きく取ることで、ボールは強く遠くに飛ぶのです。

次の動画は、私の息子「とも」が小学1年生の頃のキックの様子です。

「とも」の助走は、最初の1~2歩が歩くように小さく、インパクト直前の最後の一歩がいちばん大きくなっています。

まるで、走り幅跳びみたいに大きく飛んでいますよね(笑)。

このように、インパクト直前の最後の一歩(バックスイング)を大きくするか?どうか?で、キックの飛距離や強さが違ってくるわけです。

でも、フリーキックを蹴る場合は、助走の歩数をたくさん取ることがありますよね。

これは、いったい何だと思いますか?

そこで、次に助走が長いことで有名?なロベルト・カルロスのキックを解説しましょう。

(2)ロベルト・カルロスと日本代表

ロベルト・カルロスと言えば、強烈なアウトフロントキックが持ち味ですが、彼を一躍有名にしたのが、ブラジル対フランスで見せたフリーキックですね。

果たして、何歩の助走を取っているのでしょう?

でも、助走の最初に見られる小刻みなステップは、キックの威力と関係ありません。

実際にも、彼のキックは、インパクト直前の最後の一歩がいちばん大きくなっています。

たぶんお分かりだと思いますが、これは単なるパフォーマンスです。

実は、助走の歩数は、キックの飛距離や強さとは、ほとんど関係ありません。

だから、いくら助走を長くしても意味がないわけですね。

そもそも試合中は、フリーキック、コーナーキック、ゴールキックなどの限られたプレー以外は、それほど助走は取れません。

そうすると、助走は短い方が良いのです。

ちなみに、次の動画は日本代表のシュート練習ですが、助走がとても長いですね。

クサビのパスからシュートを打つ練習なので、どうしても助走が長くなるのですが、それにしても、ゴール前のフリーの状況(いちおうDFボードはありますが)で、ほとんどの選手が見事に外しています(笑)。

これが日本代表の実態なのでしょう。

さて、話しを元に戻しましょう。

ここまでの解説の中で大切なことは、何度も繰り返すようですがインパクト直前の最後の一歩を大きくすることです。

それによって、バックスイングが大きくなり、飛距離や威力を発揮するのです。

ところで、バックスイングを大きくすると、どうしてキックの飛距離や強さがアップするのでしょうか?

そこで次にバックスイングを大きくする意味や、その方法について解説します。

2.バックスイングを大きくする

(1)バックスイングと遠心力

先ほど、助走は、開始⇒軸足、一歩目⇒蹴り足、二歩目⇒軸足という二歩の蹴り方が大切と解説しましたよね。

これは、一歩目(蹴り足)から二歩目(軸足)までがバックスイングとして、キックモーションの一部になっているからです。

(キックモーションとは、バックスイング→インパクト→フォロースルーまでの一連の流れ)

これに対して、開始⇒軸足、一歩目⇒蹴り足というのは、キックモーションに入る前なので、それほど重要ではなく、せいぜい足を合わせる程度の意味しかありません。

そうすると、先ほどのロベルト・カルロスの長い助走と同じなので、タイミングさえ合っていれば、やってもやらなくても良いのです(つまり一歩の助走でも良い)。

それでは、なぜバックスイングを大きく(最後の一歩を大きく)する必要があるのでしょう?

それは、下図のように、バックスイングの大きさ(蹴り足の振り幅)が遠心力の大きさに比例するからです。

またバックスイングの大きさは振り子と同じで、例えば上図のAとBを比べると、Aの方が遠心力が大きくなります。

さらに遠心力が大きいということは、振り子の運動エネルギー(キックの場合は蹴り足のスピードとパワー)も比例して大きくなるということです。

つまり、ボールを強く遠くに飛ばすためには、バックスイングを大きくして、蹴り足の運動エネルギーをボールに伝えれば良いということです(助走の歩数とは関係ない)。

したがって、最初にご覧になった親子のように、同じ歩幅の助走だったり、バックスイングが小さかったりすると、強く遠くに蹴ることは出来ないわけですね。

ちなみに、次の動画のように「強いインステップキックは助走を利用して蹴る…」というのは、あまり参考にしない方が良いでしょう。

なぜなら、助走の運動エネルギーは微々たるもので、蹴り足の遠心力の方がはるかにパワーが大きいからです。

しかも、この動画の実演者の考えである「助走を利用する…」というのは、最初にご覧になった親子とほとんど変わりません。

だから、こうした蹴り方は止めた方が良いでしょう。

さて、これまでの解説の中で、助走を長くするよりも、バックスイング(蹴る前の最後の一歩)を大きくした方が良いことは、お分かりになったと思います。

そこで、次にバックスイングを大きくする方法について解説します。

(2)バックスイングを大きくする方法

バックスイングを大きくすると、最終的には一歩の助走で蹴ることが出来ます。

でもその前に、先ずは順番に練習しましょう。

① 走り幅飛びの踏み切り

バックスイングを大きくするためには、助走のタイミングをきちんと合わせるのが大切です。

そこで「とも」のキックの動画のように、一歩目⇒蹴り足、二歩目⇒軸足の順でタイミングを合わせることから始めましょう。

その時のやり方ですが、走り幅跳びの要領で、蹴り足で踏み切って高くジャンプすると、自然とバックスイングが大きくなります。

この時に大切なのは、あくまでもタイミングを掴むことなので、大げさにやるくらいの方がちょうど良いです。

また、最初に1~2歩ゆっくり歩いてから、蹴り足で踏み切ると簡単にタイミングを合わせられます(先ほどの「とも」の動画でもこのようにしています)。

このように、高くジャンプしてバックスイングを大きくすると、蹴り足の遠心力をさらに大きくするという点で、効果的で重要な2つのテクニックが身に付きます。

A.体のバネ作用や筋肉の伸張反射を使えるようになる

上の画像で「とも」が高くジャンプしている時に、左手を水平に上げて胸の筋肉を伸ばすとともに、軸足が着地した時点で体を少し反らしています。

これは、体のバネ作用や筋肉の伸張反射を使って蹴っていることを意味します。

そうすると、さらに蹴り足の遠心力が大きくなります。

※体のバネ作用と筋肉の伸張反射を詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
バネ作用でサッカーがレベルアップ!ドリブルやキックに効果抜群
伸張反射はサッカーのプレーを劇的に改善!最新理論を紹介
B.蹴り足の重さを使える

高くジャンプしながら蹴ろうとすると、足を振り回すような蹴り方になります。

そうすると、足が振り子の重りのようになって、いわば足の重さを使って蹴れるようになります。

実は、これも蹴り足の遠心力を大きくさせます。

※足の重さを使う蹴り方を詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
サッカーの正しい蹴り方!ヒザを強く速く振るのは間違い?

② 助走を長くする場合(フリーキックなど)

今度は、フリーキックなどで助走を長くする場合のバックスイングです。

先ほどのように、一歩目⇒蹴り足、二歩目⇒軸足で助走が出来るようになったら、一歩目⇒蹴り足の前に、軸足のスタートを加えると助走が長くなります。

結論から言えば、これだけの違いです。

次の画像のやり方が分かりやすいので、参考にしてください。

最初に蹴り足を前に出し、次に蹴り足を下げると軸足が前に来るので、必然的に軸足からスタートすることになります。

その後は、蹴り足、軸足の順に助走をするだけですが、この時に蹴り足で大きくジャンプ(先ほどの小1の頃の「とも」の動画のように)するように踏み切れば、バックスイングが大きくなります。

ただし、助走を長くする場合は、必ずボールの軸足を真横に正確に踏み込んでください。

これは長い助走からバックスイングを大きくすると、軸足がぶれやすくなるからです。

もしも、軸足がボールの真横から前後左右に1㎝でもズレると、正確にインパクト出来ません。

もちろん人それぞれなので、ボールの真横ではなく少し後ろとか…自分なりの決まった位置関係があるでしょう。

でも、キックが正確な人は、何度蹴ってもボールと軸足の位置関係が、同じ場所で決まっています。

そのためには軸足の強化が必要ですが、この点に関しては後ほど解説します。

さて、以上のようなバックスイングとは別に、次は短い助走で確実に蹴る方法について解説します。

3.練習での助走は2歩以内で蹴る

フリーキック以外のキックを練習する時は、なるべく2歩以内で蹴るようにしましょう。

そうすることで、試合中の状況を意識した蹴り方を習得できます。

(1)インサイドキック

インサイドキックは、ワンタッチパス(助走をしない蹴り方)もあるので、なるべく2歩以内で蹴りましょう。

動画の蹴り方をよく見ると、開始⇒軸足。一歩目⇒蹴り足。二歩目⇒軸足というような蹴り方になっています。

でも、開始の軸足と一歩目の蹴り足はシューズ一足分の歩幅なので、実際のところは一歩で蹴っているようなものですね。

特に狭い場所でパスする時には、なかなか助走すら取れないことも多いです。

だから、出来るだけ一歩で蹴れるようにした方が良いでしょう。

リズム感としては「1、2」のタイミングですね。

それほど難しくはないので、練習すれば誰でも出来るようになるはずです。

(2)インフロントキック

インフロントキックは、2歩以内で蹴れるようにしましょう。

動画の蹴り方をよく見ると、開始⇒軸足、一歩目⇒蹴り足、二歩目⇒軸足というような蹴り方になっています。

また、開始⇒軸足から一歩目⇒蹴り足の間はゆっくり歩いているので、助走としてはそれほど大切ではありません。

やはり、一歩目⇒蹴り足から二歩目⇒軸足の間でバックスイングを大きくするのが重要です。

こうしたロングキック系の蹴り方は、開始⇒軸足、一歩目⇒蹴り足、二歩目⇒軸足という「1、2、3」というリズムが大切です。

ちなみに、メッシのキックも「1、2、3」のリズムで蹴っています。

以上のように考えると、

・開始⇒軸足。
・一歩目⇒蹴り足。
・二歩目⇒軸足。

ということで、軸足から助走をスタートする!と決めるとスムーズに蹴ることが出来ます。

でも、もう一つ上のレベルにチャレンジするという意味で、助走を一歩で蹴れるようにしましょう。

そこで、次に助走を一歩で蹴る方法について解説します。

4.試合中の助走は1歩で蹴る

キックの助走を一歩で蹴る場合は、蹴り足、軸足の順に助走します。

先ほどのような2歩で蹴る方法と比べると、助走の時に先に動かすのは軸足なのか?蹴り足なのか?という違いだけですね。

※右利きの方は、この反対に考えてください。

実際には、習得までに時間がかかりますが、これをマスターすることでレベルアップします。

(1)インステップキック

インステップキックは、次の動画のとおり、やはり蹴り足、軸足という一歩の助走で蹴れるようにしましょう。

特にシュートの時に、ゴール前で2歩も3歩も助走を取っていたら、あっという間にシュートコースを塞がれますし、得点チャンスを逃してしまいます。

そのためには、練習の時から一歩の助走で蹴れるようにした方が良いでしょう。

なお、先ほど日本代表のシュート練習の動画を紹介しましたが、あのようにゴール前でフリーの状態になって、たくさん助走を取るのは本来あり得ないと思った方が良いですね(練習のための練習でしかありません)。

(2)インフロントキック

インフロントキックもインステップキックと同じように、蹴り足、軸足の順に一歩の助走で蹴れるようにしましょう。

特にインフロントキックは、ロングキックに使う蹴り方です。

例えば、自陣からカウンターを狙ってFWにロングボールを蹴ったり、サイドチェンジに使います。

またサイドチェンジは狭い場所から広い場所へのキックですが、そもそも蹴る場所自体が密集した狭いエリアです。

蹴る場所が狭いということは、2歩も3歩も助走を取るのは難しく、もたもたしていたら、相手DFにボールを奪われてしまいます。

だからこそ子供たちには、一歩の助走で蹴れるようになっていただきたいと思います。

さて、こうした少ない助走で蹴るための練習法について、次に解説します。

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5.練習法

(1)軸足の強化

少ない助走でキックを蹴るため、特に重要なのが軸足を鍛えることです。

これまでバックスイングを大きくする必要性を解説しましたが、その理由は遠心力を大きく(パワーとスピードを大きくする)するためでしたよね。

その場合、キックの遠心力は軸足一本で支えるわけですが、バックスイングを大きくすればするほど、さらに遠心力も大きくなって軸足の負担も大きくなります。

こうしたバックスイングの大きさ(遠心力の大きさ)と軸足の負担は、いわば「両刃の剣(もろはのつるぎ)」ですね。

でも、強く遠くに蹴るためには、軸足の強化によって遠心力を克服しなくてはいけません。

特に、日本人は海外の選手と比べて軸足の強化が劣っています(日本代表のシュート練習を見ても明らかです)。

そこで、特におすすめなのが、ちょんちょんリフティングです。

最低でも、1000回は出来るようにしましょう。

ただし、小学校低学年の場合はなかなか難しいので、その場合は連続でなくとも構いません。

失敗を重ねても良いので、一日の通算で1000回を目指すようにしましょう(100回ずつ10セットのようなやり方でも良い)。

※軸足を鍛えるべき理由・ちょんちょんリフティングの効果などを詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
サッカーのキックと体幹・軸足の強化!効果的な練習法
ちょんちょんリフティングがサッカーに役立つ驚きの効果

次に、テニスボールやスーパーボールも使ってみましょう。

やはり目標は1000回です。

これも小学校低学年の場合は失敗を重ねても構いませんので、一日の通算の回数を目標にしてください。

なお、その他にも、筋肉の伸張反射、上半身のバネ作用、腸腰筋トレーニングなどが必要ですが、先ずは遠心力に負けないために軸足を強化しましょう。

(2)一歩の助走で蹴る

軸足を強化すると一歩の助走で蹴れるようになりますが、慣れないとタイミングの掴み方が難しいと思います。

そこで、小学校低学年向けと一般向けの練習法をご紹介します。

① 小学校低学年向け

次の動画は、「とも」が小三の頃に毎日やっていたインフロントキックの練習です。

動画では、バックスピンの感覚を掴むため…と解説していますが、「インパクト直前の最後の一歩」をきちんと意識して練習すると、しだいに一歩の助走で蹴れるようになります。

とても単純な練習ですが、キックの助走にとっては大切な基本ですし、幼少期から習慣づけることが重要です。

練習のポイントとしては、

・距離は3~5m程度。

・蹴るのはインフロントキック。

インフロントキックが一歩で蹴れるようになれば、インステップキックの助走は比較的簡単に覚えられるので、先ずはこの練習から始めてください。

② 一般向け

こちらは先ほどと同じような要領の練習ですが、距離が10~15m程度に伸びただけです。

自分のキック力に応じて、一歩で蹴れるようにしてください。

6.まとめ

これまでキックの助走とバックスイングの関係について、解説しました。

特に助走の歩数や長さは、キックの飛距離や強さとはほとんど関係ありません。

大切なのは、助走の時にバックスイングを大きくする(遠心力を大きくする)ことと、少ない助走で蹴れるようになることです。

そのためには、軸足強化が必要です。

ぜひ、たくさん練習して上手くなりましょう。

【画像引用:Youtube.com