海外のサッカー選手のキックは、日本人とは比べ物にならないほど正確です。
実は、その理由は軸足と体幹の強さにあります。
そこで、今回はキックと軸足・体幹の関係、軸足を鍛えるためのトレーニング法を解説します。
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1.キックと軸足の関係
サッカーのキックと軸足の強さには、とても深い関係があります。
そこで軸足と体幹の関係、キックの時の遠心力の克服について順に解説します。
(1)軸足と体幹の関係
海外の選手たちは利き足をメインに使い、逆足は軸足として使います。
そうすると軸足の筋肉は上半身の体幹とも連動するので、軸足+体幹→体幹軸として働きます。
つまり、サッカーのキックにとって最も大切なことは軸足と体幹という強固な土台を築くことなのです。
(2)キックの遠心力を克服する
サッカーのキックは、蹴り足の縦回転の遠心力を使ってボールを蹴ります。
この遠心力はとても強いので、体への負担もかなり大きいです。
そのため、軸足を鍛えて遠心力を克服することが大切です。
次の画像は、私の息子のインフロントキックの様子ですが、バックスイングとフォロースルーの軸足の位置が、全く動いていません。
これは軸足を鍛えて体幹が安定したことにより、キックの遠心力を克服したからなのです。
それほどキックの遠心力は、体にとって負担が大きいわけですね。
こうしたキックと軸足の関係は、風車と鉄塔の関係にも似ています。
その際、風車には風による強い遠心力がかかりますが、鉄塔を強固にすることで風車を安定して回転させることが出来るわけです。
サッカーの場合も同じで、軸足が強いとキックのボールコントロールが安定します。
だからこそ、軸足の強化が必要とされるのです。
ところで、日本では体幹トレーニングはしても、軸足を鍛えるという発想がありません。
そうすると、軸が弱いままという問題が起きます。
そこで、こうした日本の現状について、次に解説します。
2.日本のサッカー選手と軸足
サッカーでは、キック、ドリブル、トラップとも片足立ちです。
この場合、片足立ちを維持するための軸足が弱いと一つ一つのプレーが安定しません。
だからこそ、軸足を鍛えるのが大切なのです。
そこで、次に日本人のキックと軸足の関係について解説します。
(1)日本の選手は軸足が弱い
日本では軸足を鍛えるという発想がないので、キックの際の強い遠心力に打ち克つことが出来ません。
特に遠心力が強くなるのは、インパクトの瞬間です。
もしもこの時に軸足が弱かったら正確にミート出来ませんし、蹴り足のパワーが十分にボールに伝わりません。
そうするとフォロースルーで体がグラついて、蹴り足が前に流れてしまう…という現象が起こります。
こうした現象は、日本代表でもJリーガーでも同じような傾向があります。
だからほとんどの選手のキックの精度が低くいのです。
そもそもプロであったら、キックは狙ったところにピンポイントで蹴れなくてはなりません。
こうした場合、ふつうは蹴り方(キックフォーム)を改善しようと考えるでしょう。
ところが軸足の弱さに気が付いてこの部分を鍛えない限り、根本的な解決にはならないのです。
(2)左利きの選手はキックが上手い
日本では、左利きの選手の方が正確なキックを蹴ることが多いです。
歴代の日本代表でキックが上手い選手と言えば、名波、中村俊輔、本田などですが、この3人に共通しているのは左利きということですね。
その理由は、日本の育成では左利きの選手に寛容な風潮があるからだと思います。
特に左利きの選手は右利きのように過度な逆足のプレーを要求されないので、利き足をメインに使うことが多くなります。
そうすると、左利きの選手は海外のプレーヤーと同様に逆足を軸足として使うようになるのです。
つまり自然と軸足を鍛えているようなものですね。
このように軸足が安定すると自然と体幹も強くなるので、左利きの選手は必然的にキックが上手くなるわけです。
ちなみにブラジルでは「一つのポジションに左利きと右利きがいたら、左利きの選手を選べ」という有名な格言があります。
ブラジルで有名な左利きの選手と言えば、リベリーノ、ロベルト・カルロス、リバウドなどがおなじみですが、彼らの特徴は利き足のレベルの高さにあります。
だからこそ、体幹と軸足が強くなって正確なキックが蹴れるのでしょう。
この場合、海外の子供たちはプロと同じように、右利きであっても左利きであっても利き足をメインに使います。
なぜなら海外では、まず最初に利き足の技術レベルを上げることを考えるからです。
そこで、次に海外の子供たちの様子、トレーニング法と成果について順に解説します。
3.海外の子供は利き足をメインに使う
私は30年前にブラジル・サンパウロのサッカークラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。
この年代の子供たちは利き足をメインに使うので、やはり軸足と体幹が強くキックも正確です。
ときどきユースの練習も見ましたが、やはり利き足をメインに使っていました。
もちろん当時も逆足の練習はありましたが、実際に選手たちが試合で使うのはほとんどが利き足です。
また、どのような局面でもまずは利き足で何とかしようとしますし、相手に利き足側を切られても必ずと言って良いほど利き足で勝負します。
現場のコーチたちも、利き足を使って試合で結果を出す限り必要以上に口うるさく指導はしません。
要するにサッカーは結果が全てなのです。
そうした経験を経ながら、子供たちはトップ選手の道へと進むわけですね。
さて、これまでの解説の中で利き足をメインに使うことで、軸足と体幹が鍛えられ、キックのレベルも上がると解説しました。
でも、単に利き足だけを使っていれば良いというわけではなく、やはり正しい練習をしなくてはいけません。
そこで、次に軸足のトレーニング法について解説します。
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4.軸足を鍛えるトレーニング
ふつうの体幹トレーニングをしても、フィジカルは鍛えられますが、キックのボールコントロールにはあまり活かせません。
でも、軸足を集中的に鍛えると自然と体幹が強くなってキックも上手くなります。
そのための練習方法として最も効果的なのは、利き足のリフティングをたくさんすることです。
もちろん、実際の試合でも利き足メインの考え方を活かしてください。
(1)ちょんちょんリフティング
このリフティングは、軸足の強化法として最大で最高の効果を発揮する練習法です。
トレーニングの注意点は次の記事をお読みください。
(2)インステップリフティング
なるべく1メートル四方の狭い場所で練習しましょう。
そうすることで軸足が安定します。
(3)コンビネーション
インステップ、アウトサイド、インサイド、頭、胸、太ももなど、身体のいろいろなところを使いましょう。
そうすることで、やはり体幹と軸足が安定します。
私の息子は以上のようなトレーニングを徹底敵にやったことで、フルパワーの半分以下で軽く蹴っても強く正確にボールが飛ぶようになりました。
詳しくは次の関連記事をお読みください。
5.まとめ
軸足を鍛えると体幹も安定するので、強いキックが蹴れますし、ボールコントロールも正確になります。
ところが、日本のサッカー界では体幹トレーニングはよくやりますが、軸足そのものを鍛える発想がほとんどありません。
むしろ世界的に見て最も遅れている部分でしょう。
ぜひ、たくさんの子供たちが軸足を強化してキックが上手くなってほしいと願っています。