ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

シザースの2つのコツ!小学校低学年でもすぐに上手くなる?

海外のサッカー選手のシザースは、上半身と下半身が連動するので、連続・高速でとても軽やかにまたぐことが出来ます。

ところが日本人は足を振り回すだけなので、せいぜい頑張っても1~2回くらいしか出来ません。

しかも腹筋や足が疲れてしまうので、子供たちは試合でほとんど使わないのです。

でも、たった2つのコツを覚えるだけで、誰でもシザーズが上手くなります。

実際にも私の息子「とも」は、ある練習をしたら一週間くらいで10回連続でまたぐことが出来ました。

そこで今回は、シザースの2つのコツと練習法について詳しく解説いたします。

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1.日本人の間違ったシザース

日本の子供たちのシザースは、足でまたぐ…というやり方を教わりますが、これは日本の指導者がシザースを「またぎフェイント(単に足でまたぐだけ)」と考えているからです。

だから次の動画のように、足を一生懸命に振り回すわけですね。

ところが、このようなシザースは足の力に頼ったやり方です。

これでは体力のある子供なら耐えられるでしょうが、非力な子は足が疲れるので使わなくなります。

だから、日本でシザースを使うサッカー選手が少ないのです。

要するに、やり方が間違っているわけですね。

それでは、なぜ日本人は足でまたぐだけになってしまうのか?という理由ですが、それはボールを地面において動かさない状態で、またぐ練習を繰り返すからです。

そうすると疲れてしまって子供は嫌がるので、結局シザースを使わなくなるのです。

※動画の3:30からのシーンをみるとよく分かります。

たぶん最初の動画の実演者も幼少期にこのような練習をたくさん練習したので、足でまたぐだけになってしまったのでしょう。

これに対してブラジルの指導は違います。

ブラジルでは、最初はボールを地面に置いて動かさない状態でまたぎ 方を教えます(ここまでは日本と同じ)が、その後はボールを前に動 かしながらシザースをやるように練習させます。

つまりシザースはボールを動かした状態で使うフェイント… というのを徹底させるわけですね。

これはステップオーバーを教える時も同じですよ。

ところが日本では、ステップオーバーもボールを地面に置いて動かさない状態でまたぐ練習を繰り返しますよね。

だから足でまたぐだけになってしまうのです(ブラジルではボールを動かしながら練習させる)。

でも、子供たちが気合いと根性で何とかしようとする健気な姿を見ていると、私の方は辛くなってきます。

これに対して、次の動画のロビーニョ(元ブラジル代表)のシザースを見ると、まるで宙に浮くような軽やかさを感じませんか?

日本人のシザースのように、全然大変そうには思えないはずですよ。

また、上半身が左右にくねくねと動いていますよね。

実は、海外のシザースは、日本人のように「ボールを足でまたぐだけ…」ではなく、ボディフェイク(上半身を左右に動かすフェイント)も必要と考えられているのです。

だから、日本人みたいに、ひたすら足を振り回すようなことは教えません。

そもそも、ブラジル人は日本のような気合いと根性でサッカーをするような国民性ではありませんからね(笑)。

しかも、ブラジルには「ジンガ」という考え方があります。

これはフェイントはボディフェイク(体を左右に揺らすような動き) を使わないと意味がない…という発想です。

例えば、ネイマール、ロナウジーニョ、ロビーニョなどは全身を「くにゃくにゃ」と揺らすようにフェイントをしますよね。

そうすると「この選手はジンガを持っている…」と称賛されるわけです。

したがって、日本人のような足だけでまたいで、ボディフェイクを使わないシザースやステップオーバーはフェイントとはみなされないのです。

もっと言えば、足だけの動きではフェイントにはならないわけですね 。

ところで、こうしたロビーニョのような軽やかな動きには、とても大切な2つのコツが隠されています(詳細は後述します)。

その一方で、クリスチアーノ・ロナウドみたいな、格好いいシザースをやってみたいという子は多いですよね。

そうしたクリロナのシザースは、ロビーニョとは少し違うやり方をしています(詳細は後述します)。

そこで、次にロビーニョとクリロナのシザースのやり方を考えてみましょう。

2.シザースのやり方

(1)ロビーニョのシザースと2つのコツ

ロビーニョのシザースは、上半身と下半身の連動が最大の特徴で、私が育成年代に最もおススメするやり方です。

それでは、次の動画をご覧ください。

動画の前半で、小三の頃の私の息子「とも」が肩甲骨をぐるぐる回していますよね。

このように肩甲骨をぐるぐる後ろに回すのがシザースの1つ目のコツです。

「とも」は一週間くらい練習したら、10回連続のシザースが出来るようになりました(詳しい練習法は後述します)。

後半のシーンでは、右腕→右体側→右足、左腕→左体側→左足というように、上半身と下半身を連動して、シザースをしています。

これは何か?と言うと、上半身と下半身を連動させて、筋肉の伸張反射を使っているのです。

※筋肉の伸張反射を詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
 伸張反射でサッカーのプレーが劇的に改善!最新理論で解明

こうした伸張反射を使うと、先ほどの日本人の子供のように足を振り回す必要がありません。

そうすると腹筋も足も疲れないので、いくらでもまたぐことが出来るのです。

つまり、この筋肉の伸張反射を使うのがシザースの2つ目のコツですね。

実は、これが軽やかで宙に浮くようなシザースの秘密なのです。

(2)クリスチアーノ・ロナウドのシザース

クリロナのシザースはロビーニョに比べると、覚えるのは少し大変かも知れません。

クリロナの場合は、ロビーニョのように上半身と下半身の連動という点は同じですが、肩甲骨をぐるぐる回すのではなく、背骨のバネ作用を使います。

背骨のバネ作用とは、背骨の骨(頚椎、胸椎、腰椎、仙骨の24個)を上下動させることによって、スプリングのように伸び縮みさせるテクニックです。

つまり、クリロナがシザースをやる時は、右足でまたぐ時に背骨(24個の骨)が連動して伸び縮みして、左足でまたぐ時にも伸び縮み…と言うように、何度も背骨を上下動させるわけですね。

その一方で、背骨付近の「脊柱起立筋」などを筋トレすることで、背骨のバネ作用をさらにパワーアップしていると思います。

だから、高速・連続の力強いシザースが出来るのでしょう。

実際にも、クリロナの背中の筋肉は異常に発達していますよね。

次のタイツ先生の動作解析を見ても、クリロナのバネ作用を強調していますが、ただし一点だけ子供たちにご注意いただきたいことがあります。

それは、クリロナが人並み外れた筋力を持っているという点です。

この場合、私のブログ記事では、いろいろなキックやドリブルに背骨のバネ作用を使いましょう…と推奨していますよね。

そうすると、たしかにパワーとスピードが格段にアップした…という読者の方が多くなったので、それは大変うれしいことです。

でも、クリロナの場合は、桁外れのハードな筋トレによって、背骨のバネ作用をさらにパワーアップさせているのです。

私は小中学生に筋トレはおススメしないので、こうしたことはマネしない方が良いと思います。

したがって、クリロナのようなシザースに憧れるのは結構ですが、おススメは出来ません。

(3)本当におススメするシザース

私は、育成年代の小中学生がサッカーをする時に、気合い、根性、過度なフィジカルは無用だと考えています。

また、シザースをする場合でも、頑張って足を振り回したり、クリロナのようにフィジカルを鍛えましょう…とはおススメ出来ません。

そうした意味で、私が子供たちにおススメするシザースは、フィジカルに頼らないで、しかも比較的簡単に覚えられるロビーニョのテクニックです。

そもそもサッカーに限らず全てのスポーツに言えることですが、育成年代の子供たちに対し、過度にフィジカルに依存したテクニックを教えるのは間違いです。

日本のサッカー指導者たちも、こうした点はきちんと理解しなくてはいけません。

さて、ここで、子供たちにぜひ覚えてほしいシザースの2つのコツをまとめましょう。

1つ目は、肩甲骨を回転させる。
2つ目は、筋肉の伸張反射を使う。

そこで次に、この2つのコツを詳しく解説します。

3.シザースの2つのコツ

最初に、「とも」のシザースをごらんください。

そのうえで、先ほどの2つのコツを順に詳しく解説します。

(1)シザースと肩甲骨の回旋

次の画像のA、B、Cでは、左の肩甲骨の回旋によって、左足が動いています。

Dでは左足が着地して、右足が始動する前に、右の肩甲骨が回旋を始めています。

これはどういうことかと言うと足を動かしてまたぐのではなく、肩甲骨を先に動かすということです。

さらに、E、F、Gでは右の肩甲骨の回旋によって右足が動いています。

Hでは、この反対になるわけですね。

こうしたやり方は、2つ目のコツである筋肉の伸張反射と密接な関係があります。

そこで、次にこの点を詳しく解説します。

(2)シザースと筋肉の伸張反射・遠心力

シザースで主に使う筋肉は、上半身が上腕筋、大胸筋、腹斜筋、腸腰筋で、下半身は大腿四頭筋です。

こうした筋肉の使い方で重要なことは、上半身の4つの筋肉の伸張反射が大腿四頭筋の動きをリードすることです。

これはどういうことかと言うと、肩甲骨の回旋運動によって、

・最初に上半身の4つの筋肉を伸ばす。
・この動きに連れて大腿四頭筋が動く。

つまり、シザースをする時は、最初に上半身が動いて、次に下半身が動く…というように、筋肉を二段階で動かしているのです。

さらに重要なのが足全体に遠心力が発生するという点です。

Eでは右足でシザースをやる直前で、右側の肩甲骨の回旋と右上半身の筋肉の伸張がピークになっています。

Fでは、すでに右側の肩甲骨が回旋を終えて戻ろうとしています。

また、この時の右上半身の4つの筋肉は、伸張→収縮を始めています。

ところが、右足は、またいでいる途中です。

実はこの時、足の力はほとんど入っていません。

これはどういうことか言うと、E→Fの間で起こした右側の肩甲骨の回転と右上半身の筋肉の伸張反射によって、右足全体に横方向の遠心力が発生したということです。

だから、足に力を入れなくても高速でかつ連続のシザースが出来るのです。

しかも足に遠心力がかかるということは、足の重さも利用して、またいでいるのです(足をハンマー投げの重りのように使う)。

Gでは、左側の肩甲骨の回旋と左上半身の筋肉の伸張が始まっているので、ここでも足に遠心力が掛かります。

要するに、肩甲骨の回旋と上半身の筋肉の伸張反射によって、足に遠心力が掛かるため、力を入れなくても楽にまたげるということです。

だから、いくらシザースを続けても全く疲れませんし、ボールが止まるまで続けられるのです。

それでは次に、シザースをマスターするための練習方法について解説します。

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4.シザースの練習法

高速で連続のシザースを覚えるためには、ボールを使った練習をする必要はありません。

なぜなら、肩甲骨の回転と筋肉の伸張反射を使ったやり方を覚えれば良いだけだからです。

そのために最もおススメなのが、次の動画に出てくる「肩甲骨回旋ステップ」と「肩甲骨スライドステップ」です。

動画では一本歯下駄を履いていますが、ふつうのクツを履いて練習しても効果があります。

ただし、一点だけ注意していただきたいことがあります。

それはリラックスをして練習することです。

そもそも緊張したり身体に力が入ると、筋肉の伸張反射が起こりません。

こうした点にはくれぐれも気を付けてください。

※一本歯下駄トレーニングをもっと詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!
一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選

(1)肩甲骨回旋ステップ(動画の0:34~0:59)

肩甲骨を後ろに回しながら、ゆっくりとしたスピードで前方に走ってください。

この時、シザースをするタイミングをイメージしながら、肩甲骨と足の連動を意識すると良いですね。

(2)肩甲骨スライドステップ(動画の1:00~最後まで)

肩甲骨を、自動車のワイパーのように、水平に大きく動かしながらステップしてください。

ふだんこの部分を動かしていない方は、やり難いかも知れません。

でも、少しずつで良いので練習してみてください。

以上の練習は、回数等の目安はありません。

1日5分程度でも結構です。

だいたい一週間程度続けたら、実際にシザースをやってみてください。

その時は、必ず肩甲骨から先に動かすように意識しましょう。

絶対に足でまたごうとしてはダメです。

実際にシザースをやってみて、「力を入れなくても、またぐことが出来た…。」「全然、足が疲れない…。」「足が勝手に動いている…。」

こうした感覚が身に付いた頃には、高速で連続のシザースが出来ているはずです。

ウソみたいな話ですが、きちんと練習すれば誰でも上手くなります。

ぜひチャレンジしてください。

5.まとめ

これまでシザースのやり方や練習法を解説しましたが、高速・連続でやるのは意外と簡単です。

特に2つのコツである、肩甲骨の回転と筋肉の伸張反射は簡単に身に付くと思います。

日本でよくありがちな、一生懸命に足を振り回すシザースは、単に疲れるだけなので止めましょう。

また、クリロナのシザースをやって見たいと憧れるのは良いですが、もっと楽で簡単に出来るロビーニョのテクニックを覚えましょう。

ぜひ、たくさん練習して、多くの子供たちがシザースを上手くなってほしいと願っています。

【画像引用:Youtube.com