サッカーのプレーで体のバネ作用を使うと驚異的なパワーとスピードを発揮します。
またこうした機能は生まれ付き全ての人に備わった身体能力なので、誰でも使いこなすことが出来るのです。
そこで、今回は体のバネの仕組みとサッカーに活かす方法を詳しく解説します。
※この記事は3ページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
1ページ目(このページに書いてあります)
【体のバネとは】
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【体のバネとサッカーの動作】
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【バネ作用を起こす方法】
【まとめ】
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【体のバネとは】
体のバネを考える上で、5つの点がとても大切です。
(1)体のバネの仕組み
体のバネ作用をサッカーに活かす時に、最も大切なことは2つあります。
一つ目は「復元力」で、二つ目は「パワーの蓄積と放出」です。
① 復元力
ふつうコイルや板バネを変形させると元に戻ろうとする力が働きますが、これを復元力と言います。
ヒトの背骨にも復元力があるので、曲げたり、伸ばしたり、縮めたりする動きに対して、元に戻ろうとするバネが働くのです。
例えば低くしゃがみ込んでからジャンプする動作は、背骨を折り曲げてから伸ばすという復元力を利用しているわけですね。
したがって復元力のない動作(例:単なるヒザの曲げ伸ばし)はバネ作用ではありません。
② パワーの蓄積と放出
バネを縮めたり曲げたりすると、「ギュッ」とエネルギーが貯まります(パワーの蓄積)。
そしてこの貯まったエネルギーを放出することで、強力なパワーを発揮出来るのです(パワーの放出)。
例えばジャンプの動作は、最初にしゃがんでエネルギーを貯めることで反射的に飛び上がる!というパワーを生み出すわけですね。
もしもこの時、しゃがみ込まずに立ったままジャンプしたらどうなるでしょうか?
答えは簡単で、エネルギーを貯め込まないのでほとんど飛べませんよね。
だからエネルギーを貯める(ジャンプの場合はしゃがむ)という動作は、とても大切なのです。
(2)体のバネと骨格の動き
ヒトの体は、背骨や肋骨(ろっこつ)などの骨格が連動することによって、バネの作用を生み出します。
そこで、こうした骨格の動きを利用した、代表的なバネの動作を考えてみましょう。
① 背骨
背骨のS字カーブを伸び縮みさせる時は、26個の脊椎と椎間板が連動して背骨全体にバネ作用を起こします。
また脊椎はゼリー状の椎間板で連結されているので、この部分がクッションの役割をします。
そして、この部分のクッションの働きによって背骨のS字カーブが上下に動いてバネ作用を起こすのです。
② 肋骨
肋骨は左右に12本ずつあり、この部分を左右交互に伸び縮みさせることによって、蛇腹のようなバネの動きをします。
つまり次のように左右に伸び縮みするわけですね。
この時のバネ作用は一方を縮めると反対側がすぐに伸びる…というように、左右のいずれかの縮む動きを先行させることが大切です。
例えば左側を急激に縮めると反射的に右側が伸びる…というような動きですね。
そうすることで、肋骨のバネ作用が効果的に使えるわけです。
(3)体のバネは体幹に集中している
体のバネは体幹(上半身)に集中していますが、これは骨格の構造と関係します。
ヒトの骨格は、複数の骨が組み合わさって出来ています。
例えば背骨は26個の脊椎が組み合わさって一つの骨格となり、肋骨は左右12本ずつで一つの骨格になります。
そして、これらの骨格が伸び縮みすることによってバネ作用を起こすのです。
したがって骨格のない場所(例:関節)には、バネの機能はほとんどありません。
そうすると例えばヒザのバネを使う…というのは明らかに間違った考え方になります(ただしほんの少しくらいはバネ作用はあります)。
この場合、自分ではバネを使っているつもりでも実際にはじん帯を酷使するので炎症を起こすだけですね(じん帯は関節を繋ぐだけなのでバネ作用はない)。
(4)低重心の人は体のバネが使えない
これは体のバネが体幹に集中していることと深く関係します。
一般的に低重心の人がサッカーをする時は、足のパワー(下半身の動き)に頼ったプレーが多くなります。
そうすると上半身の体幹に集中している体のバネが使えません。
これは、まるで上半身を荷物のように背負ってプレーするようなものです。
またヒトの体重比は6対4で上半身の方が重たいことから、下半身の負担をいっそう大きくします。
これは太り過ぎの人が足腰をケガしやすいのと全く同じことですね。
つまり低重心の人は、下半身だけでプレーする→体幹(上半身)に集中するバネを使えない→上半身が重りになる→下半身の負担が大きくなる→プレーのパフォーマンスが落ちる…という悪循環に陥るわけです。
ところが高重心の人は、体幹部の背骨や肋骨を縮めたり曲げたりすることで上半身をバネとして使うことが出来ます。
だからプレーのパフォーマンスが上がるのです。
次のタイツ先生の動画の1:08からの解説をご覧になるとよく分かります。
いずれにしても、低重心である限り体のバネの作用はほとんど使えません。
ちまたではサッカーのプレーは低重心で…などという間違った情報が氾濫しています。
こうした知識は人体の仕組みを全く理解していない大変誤った見方なので、ご注意ください。
(5)体のバネと伸張反射は密接に関係する
体のバネは骨格を縮めたり曲げたりする動作に対し、復元力を利用して元に戻そうとする動きです。
また動かす人体の部分はあくまでも骨格です。
これに対して、伸張反射は急激に伸びた筋肉が縮むという反射作用による動きです。
この二つは、スポーツ科学的には異なった動きをします。
つまり筋肉が動くのか?骨格が動くのか?という違いがあるわけです。
でも実際には、両方の動きは密接に関係します。
例えばサッカーのキック、ドリブル、ジャンプなどの動作は典型例ですね。
そこで次に、こうした体のバネ作用が、サッカーのプレーにどのように応用できるのか?という点を詳しく解説します。
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